前髪と息子-5【呪術廻戦】 (ページ15)

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｢はぁ！？！？海外！？！？｣

ﾊﾞﾝｯ!と机を叩く真希に、夏油は気まずそうな顔をしながら小さく頷いた。

｢んな話聞いてねぇぞ！！！｣

｢私も昨日聞いたんだよ。で、一応みんなには話しておいてくれってことだったからね。謹慎開けてしばらくは日本にいるらしい。｣

｢…！！…………言うなら直接言えよ…！！｣

｢私にあたるな！！｣

夏油に向けて呪具を投げつける真希を、何とか宥める。しかし、彼女が怒るのも当たり前なのだ。謹慎中の恋人は連絡手段を持ちながらも連絡ひとつ、それどころか既読すら付けない。かと思えば特級術師の九十九由基と面会をして彼女について海外に行くと言い出す始末。

｢自分勝手にも程があるだろ…傑そっくりだな。｣

｢ちょっと。｣

｢…………あいつ、まだ面会拒否かよ。｣

｢…………そうだね。今朝、幸慶が面会を希望していたけど断ってた。｣

｢…………あっそ。｣

真希はそう言うと、空き教室を出ていった。随分とお怒りなようで、ﾊﾞﾝｯ!!!と凄まじい音を立てて扉が閉められる。

｢物に当たるなよ………｣

はぁ……と大きなため息をついて椅子に項垂れる。

"『海外！？』

『うん。世界を見れば、私のこの考えも少しは変わると思ったんだ。九十九さんも、あれでいて信頼出来るところはある。』

『真希達にはなんて説明するんだ…？』

『謹慎が開けたら話すよ。一応父さんから話しておいてほしい。』"

先日の彼との会話を思い出し、またもため息が出てくる。全く面倒くさい役割を頼まれたものだ。

｢幸慶達にも話さないとな………はぁ………｣

何度目か分からないため息をついて、夏油はその空き教室を出た。