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-数ヶ月前-
「それで、本当は何をしに来たんですか?」
「……君には敵わないね。」
トレーニングルームのベンチに座り、九十九はクツクツと笑った。彼女がわざわざ日本に来たから、という理由で高専に来るなんてありえないのだ。何かしら理由があるのだろう。
「Aくん、英語話せる?」
「え、えぇ、まぁ…少しは分かりますけど、話せるかは分かりませんね。」
「それでいーよ、そのうち分かるようになるから。」
「………どういうことですか?」
「今日私がここに来たのはね、君をスカウトしたくてきたんだよ。」
指を鳴らし彼を指さした九十九は、バチンッとウインクをした。
「スカウト…?」
「そ、スカウト。私と世界を見に行かない?」
九十九の言っていることがよくわからなかった。つまりは、自分を連れていきたいと言うことなのだろうが、そんな事をしてもなんのメリットも無いはずだ。
「世界ではどんな人達が暮らしているのか、それを知れば君はきっと成長すると思う。世界には優しい人が沢山いるから!」
「……そのためにわざわざ来たんですか?」
「そ!」
相変わらず分からない人だ、とAはため息をついた。
「葵くんに言えばいくらでも連絡先くらい教えてもらえたでしょう。」
「こういうのは直接がいいんだよ。ま、今すぐ決めろとは言わないから。」
はいこれ〜と手渡されたのは白い小さな紙。九十九は満足したのか、ひらひらと手を振りトレーニングルームを出ていった。紙に書かれていた連絡先を一応登録しておく。まぁ、きっと断るだろうけど。
その頃はそう思っていた。
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ゆーりん - 泣きそうになったのは仕方のないことです!辛い!! (2022年11月20日 2時) (レス) @page35 id: 63a2588af8 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - おっと目から水が......(´: ω :`) (2021年6月26日 21時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月25日 2時