忘れた記憶 murder ページ5
─────A、・・・帰るんだよな。
あー、・・・オイラらしくないかもしんないけど、一個約束させてくれ。
オイラ、・・・オレ、必ずお前さんのこと迎えに行くからさ。
待っててくれよ─────
なんだか懐かしく感じる夢を見た。
夢に出てきた見たことも無いはずのそのスケルトンに、妙に懐かしさを感じた。
周りにはたくさんの見たことも無いモンスターのような人達がいて
私はその人達から見送られているようだった。
懐かしさと同時に目を開けると、自分の目からは涙が流れていた。
初めて見た人達なのに、なんでこんな気持ちになるのだろうと
どうも不思議でたまらなかった。
「A、どうした?そろそろ行かないと仕事に遅れるぞ」
夢について考えていると、目の前の彼から忠告される。
私は今、同棲している彼氏がいる。
でもなんだか、夢に出てきたあのスケルトンと性格が似ている気がしなくもない。
あれ?なんで性格が似てるなんて・・・あのスケルトンとは会ったこともないはずなのに。
あー、だめだ。これ以上あの夢について考えてると懐かしさと悲しみで押し潰される・・・。
「うん、行ってくるね。ちゃんと家の事しておいてよ?」
玄関の扉を開けながら彼にそう言った。
「わかってるって」
彼には仕事をしない代わりに家のことをしてもらっている。
めんどくさがり屋だけどやるときはやる人で
何処か諦めたような顔をするのに、どうも諦めきれてなくて
亡くなった弟さん想いで月に2、3回はお墓参りにも行っている。
そんな彼が、夢の中のスケルトンと重なって、思い出せないことにどうももどかしさを感じる。
そんなことを考えながら私は玄関の扉を閉めた。
それを物陰から塵にまみれたフードを被ったスケルトンが覗いてるなんて気付かずに。
「嗚呼、やっと見つけた・・・」
─────約束、果たしに来たぜ
(嗚呼、早く、早く、お前に触れたい)─────
まさか、帰ってくる頃にはあんなことになってるなんて、思いもせずに。
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作成日時:2022年6月4日 8時