episode11 優しさ ページ13
PSYから帰ったあと再びカードキャピタルに戻った。
余程弱っている私が珍しかったのか櫂が顔を青くして駆け寄ってきた。むしろ私にとってはそれが珍しくて。
『…そんなに弱ってるのが珍しい?』
と、微かに笑ってしまった。すると櫂が
「お前のことが心配だ。レンのことも忘れた訳では無い。」
そう、私の兄の力…PSYクオリアと立凪タクトは言ったか。
詳しくは私もわからないがその力はヴァンガードファイトが終わったあとに影響を及ぼし、使用者を疲れ果てさせるのだ。
コントロールが出来ていなかった時期は度々それが起こっていたが、今は完全にコントロールしているため影響はなくなっている。
その事櫂は言いたかったのだろう。
『…ん。ありがとう……私は大丈夫、一人で帰らないと。』
「そんな状態で女の子一人で返すわけには行かないっしょ?櫂送ってやれよ!」
と、三和が言った。
「…アイチ、Aを貸せ。」
「う、うん。」
『私は物じゃないんですけど〜…』
櫂は私のことを背負った。
『重いでしょ、あはは。』
と、自虐をすると櫂が
「軽いぐらいだ。ちゃんと飯は食ってるのか。」
と言うので、少し私は照れてしまった。
…女の子扱いなんてされたことないのに…ずるい。
櫂の背中は大きくて、暖かくて…櫂の匂いがした。
背中に顔を埋めて完全に体重を櫂に任せた。
「あ、A。強化合宿の件はOKみたい。三日後7時にここ集合って店長が。」
『…ありがとうアイチ。今日も…』
「ううん、大丈夫!ゆっくり休んでね!」
こういう時の優しさは身にしみるものだなぁと思い少し嬉しくなってしまった。
アイチ達に別れを告げ、櫂はゆっくりFFのビルへと向かった。
「…何があった。」
『ごめん…言えないよ。私もよく分かってないんだ。』
「…そうか…」
『ねぇ…櫂。もし、もし私が兄さんと似た力を持っていたら君は私のことを嫌うのかな…』
「馬鹿なことを言うな。俺は力を持つこと自体を否定してはいない。力にすべてを任せることを毛嫌いしてるんだ。力を持っているからと言ってお前を嫌う理由にはならない。……レンに言われたのか?」
『……は。私……』
気づけば私の両目からは大粒の涙が流れていた。
私を、櫂は受け止めてくれるのかな。私を見てくれる?
完璧を求めなくてもいいの?
『う……ぁ…櫂…っ……かぃ…』
「…お前は強いやつだ。だからこそ、間違えるな。」
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蘭子@気まぐれ屋(プロフ) - ユリさん» 確認が遅くなり申し訳ありません。質問はご自由にどうぞ! (2021年3月23日 1時) (レス) id: f049fc72a2 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 蘭子さん» 質問いいですか? (2021年2月13日 19時) (レス) id: 1f8411eea9 (このIDを非表示/違反報告)
蘭子(プロフ) - 桜♪さん» ありがとうございます!ゆっくり読ませて頂きます! (2017年12月4日 23時) (レス) id: 3a1167d91d (このIDを非表示/違反報告)
桜♪ - 蘭子さん» いえいえ! 私の作品の題名は、[ヴァンガード] クロノ達の仲間だった!? [GZ編] と言います。 (2017年12月4日 22時) (レス) id: 76272ba197 (このIDを非表示/違反報告)
蘭子(プロフ) - 桜♪さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!体のお気遣いまでして下さって…感謝します!そして桜さんの小説すごく気になります!よろしければ題名を教えて貰っても構いませんか? (2017年12月4日 22時) (レス) id: 3a1167d91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭子 | 作成日時:2017年11月29日 0時