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【過去編】頼まれた ページ5

迅side




4年前のあの日。



近界民の襲来によって三門市は崩壊した。




「迅!!!先に東へ行け!!!俺と迅の家はそっちだろ!!」




そう言ったのはAの兄。




旧ボーダーのメンバー、俺の同級生だった。





未来が見えてる俺は今日でこいつの命がなくなることを知っている。





最悪な未来だと命を落とす…のではなく、どの未来に進んでも命を落とすのだ。






もう覆せない未来だというのに、どうにかその未来を変えたくてこいつの側で戦っていた。






「おい迅!!!速く行け!!!!」





嫌だ。こいつがいなくなるなんて。





なんでこんな未来にならなきゃいけないんだ。





誰も犠牲になんてなってほしくないのに。







「……妹を頼んだぞ」






ああ、きっとこいつには全てお見通しだったんだろうな。






そう言って俺の背中を押して、近界民を自分におびき寄せた。







かわりに俺は東の住宅地に向かって走ったが、もう手遅れだった。






「嘘だろ………」





既に建物は崩壊し、人々の身は地面に投げ出されていた。






そんななか、1人の少女のすすり泣く声が聞こえた。






『目なんていらない!!消えてっっ!!お願いだから消えてっ、!!』





目を乱暴にこする少女の姿にあいつの面影を感じた。






「…助けにきたよ」




そう言って、うずくまってる少女の肩に触れると





『私も父さんと母さんのところに逝きたい』




とつぶやいた。




きっと目の前で父と母が殺されたのだろう。






「……今、君には2つの選択肢がある」




我ながらひどい選択肢を与えたもんだ。





「きっとこの記憶は消えることはない。必ず日常生活でもフラッシュバックする。それでもこの記憶に怯えながら平穏な生活を求めるか…」







「それとも、この記憶と同じような近界民との戦いを仕事として飼い慣らすか…どっちがいい?」





ずいぶんと酷な選択を迫った。





けれど少女の意思は固かった。






『私は…どんなに願っても記憶が消えないの。だから、選択肢は1つしかないよ』





そう言って、俺についてくることを選んだ。







その数時間後、この少女があいつの妹だということとあいつが黒トリガーになったことが分かった。

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作成日時:2021年10月20日 1時

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