ここにおってよ【4】 ページ24
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ひとりぼっちだった。
ステージに立つ機会があっても、芝居の仕事もあったからみんなとのレッスンにはあんまり参加できなくて。
結局大勢で歌う曲と、ソロでのパフォーマンスのみ。
ユニットとか。グループとか。
私には無縁だった。
だから、憧れた。
ひとりでいるときの孤独よりも、みんなでいる時の孤独感の方がつらいってなにかで読んだけれど、本当にその通りだった。
女だからと受け入れて貰えなかったときよりも、
ひとりで仕事をする孤独感のほうが私には耐え難かった。
西畑「きっとこばは、持ってる荷物が多すぎて周りが見えんくなってるんやと思う」
「荷物？」
西畑「そう、目には見えない荷物。プレッシャーとか、マイナスな感情とか」
「そう、かな」
西畑「…抱えきれへんくらいの荷物は俺が持ってあげる」
だから、
西畑「ここにおってよ」
真っ直ぐすぎる言葉。
ここにいて、なんて。
ずるいよ。
一瞬で孤独感なんて吹き飛ばされた。
私はその言葉を、ひとりにさせないって、そう解釈したの。
都合のいいように、言われたかったことの意味で解釈した。
本当は違ったとしてもいい。
大丈夫。
だって覚悟ができたから。
ここで、アイドルとしてやっていく覚悟。
でも大吾くんにこの荷物は渡さない。
大吾くんは荷物を持ちすぎだから、
捨てていくんだ。
孤独感とか、寂しさとか、…憧れとかぜんぶ。
「……がとう」
西畑「こば？」
「ありがとう、大吾くん。…いつか、大吾くんの隣で歌えるように、また頑張るよ」
センターの彼を、支えられるように。
なるんだ。ならなきゃ。
ここにいてほしい、そうずっと思ってもらえるように。
彼の力になりたい。
西畑「あのさ………っ、なんでもあらへん」
「なーに？」
西畑「…お互いデビューできたら、話すわ」
「それ何年後の話になるかな」
西畑「さあね」
頑張ろう、そう言い合って笑った。
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作者名：ソルト
| 作成日時：2023年3月30日 22時
