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滑るように入った車が到着したのは、あの喫茶店だった。
「また連絡する」
そう運転手に告げて、清太は私の手を掴みその店に入っていった。
久しぶりに訪れたその場所はあの頃と変わらずに、カウンター越しの綺麗な色とりどりのお酒が所狭しと並んでいて、お客さんのいないゲーム付きのテーブルはなんとなく寂しさが漂っていた。
清太は迷う事なくカウンターの奥へと私を引っ張って行く。私は戸惑いながらもそれに従うしかなくて、あの店主であるおばさんはどこにいるのだろうと探していた。
「淳、上借りるぞ」
清太が声を掛けた先には、熊みたいな体の男がいた。
「………彼女？」
「俺の女」
「へえ」
「誰も寄越すなよ」
「ん、俺も出てくるわ」
のそりと大きな体が立ち上がるのを見届けながら、狭い階段を上がった。
．
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作者名：ミーコ | 作成日時：2017年9月30日 14時
