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「しろ」
しろの病室から出てきた野々上先生に会釈して、病室に入った。
「あ、ごろくん。いちにぃも」
「調子どう？」
「ん。まあまあ。もうだいぶげんきだよ」
そうは言うものの、まだ本調子とは程遠い。
「はい、夕飯つくってきた。朝昼はちゃんと食べられたのか？」
「うん。ふふ、おにきょーかんが、いたから」
「だれが鬼教官だって？」
低い声がして、後ろを振り返ると病室の壁に寄りかかって腕を組んでいる二郎にぃ。
「わ、じろちゃん。くふふ」
「鬼教官が懇切丁寧に指導してやってもほとんど食べなかったのはどこのどいつだよ」
・・・・ほぼ食べてないのかよ。
そう思いながらしろを睨むと、ぺろっと可愛く舌を出しやがった。
体調はともかく、精神面は随分と回復してきたらしい。
「五郎の夕飯ちゃんと食べるって約束で朝も昼も下膳したんだからな。ちゃんと食べろよ」
「はーい・・・」
一連のやりとりにいちにぃが笑う。
「また熱上がってきてると思うから、あんまり無理しないように食べさせてやって」
俺の耳のそばで二郎にぃがこっそりと言った。
・・・・確かに。いつもよりも子供っぽい喋り方のときは大抵、熱があるときだ。
昨日の夜はせっかく少し下がってたのに。
「仕事片づけてくるから。わがまま王子がまたなんか言いだしたら呼んで」
「わがままなんて、いわないもん」
「ふふ、ちゃんと食べろよ」
二郎にぃも俺も、本気でしろのことを我儘だとはこれっぽちも思っていない。なんなら、俺たちにもどこか遠慮している節があるくらいで、文字通り少しは我儘を言えるようになったらいいのにな、とさえ思う。
「いちにぃも、いっしょにたべよ」
しろが弁当のふたに手をかけた。
「ごろくん、ぶろっこりーは、いらない・・・・」
・・・・前言撤回。やっぱこいつはわがまま王子だ。
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和泉(プロフ) - 掃除機。さん» 修正箇所に気づかれるくらい読んでくださっていてとっても嬉しいです！誤字の修正もですが、いつか完結したら、スピンオフを書けたらな…と本筋から外れない程度に内容を修正したところもあります。少しですが続編も更新したので良かったら読んでもらえると嬉しいです。 (2022年9月11日 21時) (
レス) id: d39becd218 (このIDを非表示/違反報告)
掃除機。(プロフ) - 定期的に読み返させていただいています。久しぶりに読ませていただいたら所々推敲されていて新鮮な気持ちで読むことができました。続編の更新もお待ちしてます。 (2022年4月26日 23時) (レス) @page20 id: f67921346b (このIDを非表示/違反報告)
和泉(プロフ) - 千智さん» コメントありがとう。ちょっと怪しい雲行き・・・・4人と一緒に私もしろちゃんを見守ります; (2016年9月15日 21時) (レス) id: 6aec176d3c (このIDを非表示/違反報告)
千智(プロフ) - 久しぶりにたくさん更新ありがとう。しろちゃん大丈夫かなぁ。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: 14c13db5b5 (このIDを非表示/違反報告)
和泉(プロフ) - 千智さん» コメントありがとう^^この旅行はインドア派のしろちゃんも毎年楽しみにしてるから、きっと進んで体調管理してるはず(笑) (2016年6月29日 22時) (レス) id: 6aec176d3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和泉 | 作成日時：2016年1月10日 19時
