理不尽な世界で何想ふ

日と雷は着手する ページ49

炭治郎君の鼻に布を当てていると、彼がよく分からない複雑な顔をして目線を下に向けている。

「大丈夫？痛かったでしょ。あの二人から食らったもんね」

「うっ・・・情けない。こんな失態を君に見せるなんて」

「失態って・・・私を助けてくれたんだよ、ありがとう。」

結局騒動が胡蝶さんにバレて、善逸君と伊之助君は説教に治療をされた。その後、手当てしている途中にそろりと二人して入ってきて謝った。仲直り出来て良かったね。

然し善逸君は私の事にはまだ怒っているのか、「後でちゃんと話して貰うから」と耳元で話し、そのまま席を外した。

指を魔術で直してもらって、武術と魔術を教えてもらう約束をしました〜、なんて言った時の皆の反応が絶対に憐れみだろうから言えないじゃん。

「それにしてもAって怒ると、その、いや、なんでもない」

「ん？ああ、脅しみたいだった？」

「ええ！？な、なんで分かるんだ！」

黒幕はアラフィフだから。これは本当にダディの所為だから。

「でも、炭治郎君も怒ったら怖そうだけどね」

「？そうか？」

「だってよく言うでしょ、優しい人程怒ると怖いって」

後に私は自分で言った事を、身を以て体験する事になるが、それはまた別の話。


さて、何とかこの後のキレ善逸君と炭治郎君に魔術の所をぼやかして説明した。二人とも納得してくれたようで良かった。これで納得してくれなかったらもう説得(物理)しか無かった。

炭治郎君は壊死寸前だった指を傷が無いと驚きながら、すりすりと私よりゴツゴツとした分厚い手で触ってくる。
正直驚いた。私が初めて会った頃のやわやわとした手が今じゃ男性の手になっていたから。そっか、当たり前だけど、彼も成長したんだ。
ついついじいっと手を見つめていると、炭治郎君が心配し痛いか？と聞いてくるから笑ってしまった。

そんな光景を目にし何を血迷ったのか、善逸君は私の頬を触ってきたのだ。しかも炭治郎君と同じ位優しい手つきで。

「え、ちょっと」

「Aちゃんって柔肌だよね・・・でもちゃんと手入れしてないね」

カサカサしてるよ、と言う善逸君。いや、最近は君達の所為で寝不足なの分かって？？あ、そこはやめて。ニキビが、ニキビがあるからって、おい。

くそ、こんな一妻多夫望んでない。


そんなAは善逸と炭治郎が牽制しあっているのに気づいていなかった。


(彼女に触るな)

(お前だって触ってるからお相子だろ)

やっぱりポンコツ→←喧嘩も過度は宜しくない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す