匂いと思いの平行線 ページ41
俺は鼻がいいから分かるんだ。Aから漂う匂いに。
本当は叫び出したかったんだろう。
「やめて」って、
「死なないで」って、
「生きて」って。
そうやって君はそんな悲痛な匂いを全部抱え込んで誰にもばれないように、見せないようにするんだ。いつも通りに振舞って。俺はそれが哀しくて幼少の頃風が強くても雪が酷くても君に会いに行ったんだ。
誰かに、俺にでも言ってくれれば良いのに。それなのに君はそれを良しとしない。
頼られないことは存外、寂しい事なんだな。
Aは凄い子だ。俺とは違って辛くても悲しくても周りに人が居るならば一緒に前に進んでくれる様な人。偶に彼女が近い歳の筈なのに遠い大人の様に感じる。どれだけ年月が経っても彼女は変わらなかった。まるで、もう彼女自体の時間が俺の知らない時に止まっているかのように。
だから不安になるのは仕方が無いだろう。俺と歩んでいる時が違う気がするんだから。
Aの顔から血が溢れ出たあの時、彼女は死にそうになっても自分の事なんか気にもせずに真っ先に煉獄さんの方へ這いずってでも向かったんだ。そんな事、余程の事がない限り絶対に常人には出来ない事だと俺は思っている。
彼女が何日も眠り続けてやっと起きた時も此処を何処か知らない場所と勘違いしていた。若しやAは人ではないのでは、と思考が回り、一瞬でも彼女を疑った頭を空にするように横に振る。
だから聞いたんだ。俺に、俺になら話してくれるんじゃないかって。
「A」
「ん?何?」
「俺達に何か隠し事してないか?」
そんな思いもただの錯覚に過ぎなかった。
矢張り君は俺にも話してくれないんだな。
ー大正コソコソ噂話ー
「実は伊之助君、私が違う世界で生きていた事をぼんやりと分かっていたそうです」
「えっ!?い、良いのかA!?めた?この先に出てきそうな話をしてしまって」
「この話は前提として、ね。なんか勘が鋭いんだって?」
「伊之助が言うには体感だそうだが」
「そしたら伊之助君って妙に頭が切れるんだね、何時も名前間違えるのに」
「俺は鼻がいいぞ!」
「え?いや知ってるけど」
「俺は!鼻が!!いいぞ!!!」
「急にどうした」
「俺は耳がいいんだよぉぉぉおAちゃぁぁあん!」
「む!善逸は違うだろう!少ない二人きりの時間なんだ。邪魔をしないでくれ」
「混沌にしないでリヨ化しそう」
(何だろう、矢張り声が同じ人が居るからカルデアにいる感ハンパない)
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ちぃ子(プロフ) - あごしわさん» あの男らしくて凛々しい錆兎がバーサーカーは無いかなとは思ったのですが彼に限らず鬼滅キャラ全員バーサーカーぽい所あるよね!でバーサーカーにしてしまいました…反省はしていますがあごしわさんが草生やしてくれるので後悔していません!コメント有難う御座います! (2020年1月3日 0時) (レス) id: 703775a416 (このIDを非表示/違反報告)
あごしわ - 錆兎バーサーカー呼ばわりされてて草生え散らかした。 (2020年1月2日 22時) (レス) id: d41c4bfd58 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ子(プロフ) - ウルクの民はここにいます…さん» コメントありがとうございます。何ギルなんでしょうね・・・。何時も御覧頂き有難う御座います! (2019年10月31日 22時) (レス) id: 703775a416 (このIDを非表示/違反報告)
ウルクの民はここにいます…(プロフ) - 何だこの面白い小説……はっ!ギルがでてきた!?これギルだよね!?ギルだよね!?いやったぁぁぁぁ!!更新!頑張って!ください!(黙れ) (2019年10月19日 6時) (レス) id: e3c16a62a9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ子(プロフ) - 焔さん» 有難う御座います!参考にさせていただきます…!! (2019年9月21日 11時) (レス) id: 703775a416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ子 | 作成日時:2019年8月11日 0時