理不尽な世界で何想ふ

己の周りは敵しかいない ページ23

何なんだ、あの女。俺の主人(マスター)を抱き締めるな。

マスターはマスターで紅潮した顔で嬉しそうに・・・。俺の時はしなかっただろう。

それになんだ、義勇も炭治郎も。アイツは俺のマスターだ。俺が先に見つけたんだ。だと言うのに何なんだ、お前達は。


何故そんな思いを燻らせているのか分からぬまま、バーサーカーは彼女に人を近付けさせぬ様に彼女の首に腕を回す。




嗚呼、男の嫉妬はこうまでも明け透けだ。




「えっとー、冨岡さん、こう言う時のバーサーカーの対処方はどうすれば良いでしょうか」

「知らない」

「ええ・・・バーサーカーの友人なら知ってると思ったのに・・・」

「ま、まあまあ」

「竈門君、なら何とかしてくださいよ」

「それは・・・ごめん！」

「即答！？」

「なぁA、何で竈門君なんだ」

まるでマスターと俺が会う以前から会っていたような口ぶり。

「え？」

「それに何で敬語なんだ」

「だってお互い忘れてたから・・・竈門君は前もそう呼んでましたよね」

「何か他人行儀みたいで嫌だ！炭治郎と呼んでくれ！」

「ええ！？そんな無茶苦茶な・・・敬語は外すけどそれ以外はそのままでも」

「嫌だ！」

「我儘か！」

「むん！」

「いや、むん！じゃないよ可愛いな許す」

男らしくないが無性に炭治郎に八つ当たりしたくなった。鯉口を切ろうとしたがマスターに止められる。



「・・・あ、鮭大根作ってる途中だったんだった」

ああ、辞めろ、鮭大根は義勇の好物だ。話に食いついて来るだろう。

「鮭大根？」

「はい、食事作ってる最中に竈、炭治郎達が転がり込んできたので。あ、もしかして鮭大根お好きなんですか」

「・・・ああ」

「あ、じゃあ食べますか？二人で食べるより大勢で食べた方がもっと美味しいですし」

「・・・いや、遠慮する」

俺をちらちらと見て答える義勇。何だ、言いたいことがあるならはっきりと言え、男なら。

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