第四十七話 ページ6
正式に探偵社に入社した鏡花ちゃんの歓迎会をすべく社員一同祝宴の準備で大忙しです。
「酒たりるかい?」
『与謝野先生が控えてくれれば』
「じゃぁ足りないねェ」
『控える気無しですか…国木田さんの胃の事を考えてあげてくださいよ』
「Aさんこの料理は何処に置いときます?」
『あぁ…あっちの洋食を置いてる所かな…あ、湯豆腐は端の机に置いておいて‼直ぐに追加できるように‼』
敦くんが鏡花ちゃんを連れてくる前に料理を完成させて飾り付け。
喜んでくれるだろうか。
「「「鏡花ちゃん 入社御目出度う!」」」
皆でクラッカーを鳴らし祝宴が始まる。
乾杯とともに思うままに食べて飲んで話して。この前まで戦争してたのが嘘のような賑やかさ。
まだ料理を作っていると後ろから敦くんに声をかけられた。
「Aさん」
『ん?如何かした?…あ、何か食べたいものが』
「済みませんでした‼」
『…何が?』
「え…あの…だから…白鯨から脱出した後、僕…八つ当たりして…」
『あぁ…気にして無いし怒ってないからいいよ。きちんと説明して無かった私も悪いしね…それでも気にするんだったら…この料理向こうに運んでくれない?』
「はい!」
律儀だなぁ…太宰さんも見習ってもらいたいくらい。
粗方料理を終えて騒ぎに混ざりに行くと知らない男の人がいた。
『あの…どちら様でしょうか』
「⁉…あ、あの…我輩。エドガーといって…乱歩君に電話で…その…」
『エドガーって…あのエドガー・アラン・ポーさんですか⁉』
「は、はい⁉」
『わ、私、ファンなんです‼まさか乱歩さんのお知り合いだったなんて…感激です‼握手していただいても…』
「握手⁉」
『あ、す、済みません‼駄目でしたか』
「い、いや…だ、大丈夫なのである…」
憧れのエドガーさんとこうしてお話できるだけでなく握手もできるなんて…。
緊張で手が震えるなかいざ握手をしようとすれば乱歩さんからお呼びがかかってしまった。
『済みません‼乱歩さんに呼ばれてしまい行かなくては‼えっと…ゆっくりして行ってくださいね‼』
「え…」
『乱歩さん如何されました?』
「お菓子なくなっちゃった」
『それは大変‼直ぐに用意しますね‼』
結構用意したんだけどな…。
「ヤキモチかい?」
「違うよ。僕の方が好かれてるのは火を見るよりも明らかだしね‼ちょっと面白く無かっただけ!」
「それをヤキモチって云うんだよ乱歩さん」
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作成日時:2020年1月4日 10時