第七十四話 ページ34
目を覚ましたら先程刺された川沿い…じゃなくて‼
『あれ…さっきまで探偵社に居た筈なのに…。何でまた此処に?あ、先刻までのが夢だったとか』
嫌な夢の所為で疲労が残るが、夢だったのなら太宰さんの回収をして早く社に戻ろらないと。
夢みたいに敦君が駆り出されてしまう。
重い腰を上げると目の前の河に浮かび上がる脚。これ、夢でも見たよ。
『はぁ…。太宰さ』
「あぁ‼太宰さん‼こんな所に‼」
『え_』
先刻の夢と同じ様に敦君が私の横を通り過ぎて河に突っ込んで行く。
偶然?其れとも…
『あ、敦君?』
「もう太宰さん‼直ぐ河に飛び込まないでくださいよ…。僕が回収に回されるんですよ‼」
「私は回収して欲しくないのだけれど…今回も失敗かぁ」
『嘘でしょ…?』
「早く帰りますよ。国木田さんが怒ってますし」
「怒ってるのは何時もの事でしょ?」
『正夢?』
余りにも同じ光景に目眩を覚える。
「敦君、擽ったいよ」
「?僕何もしてませんが」
「え」
矢張り、太宰さんに触れても変化はない。これも夢なのだろうか。其れとも、これこそが異能なのか。
『もう一度。探偵社に行けば判るよね?』
夢と同じ様に二人について行き社に入り、社員全員に触れてみる。夢と同じで異能者にしか触れる事はでいなかった。
「太宰‼貴様また何か企んで‼」
「違うよ⁉信用なさ過ぎじゃないかな‼」
「貴様以外に誰が!」
「そこにいるんじゃない?」
全く同じ科白で繰り返される会話。また乱歩さんが此方を指差して云う。
全く同じ場所にあった紙と筆を取る。
「‼筆が浮いた?」
「動かしてる人物が見えないだけだよ。君、誰?」
考えろ。きっと先刻と同じ言葉は駄目だ。此れが夢じゃないなら、また同じ事を繰り返されるかもしれない。
【私は新井Aと申します】
助けを求める事無く、自己紹介だけにしてみよう。
_私の意識は途切れた。
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年1月4日 10時