あなたのそばに…「二」【文豪ストレイドックス】 (ページ19)

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第五十九話ページ19

「もぉ‼こっそり出て行くなんて‼」

『ごめんね？』

「礼君が居たから良かったものの…真逆マフィアに向かうなんて」

『何で知って…』

「礼君が云ってたから‼全く…武装探偵社より物騒な所に行くなんて」

頬を膨らませ如何にも怒ってますよという表情をするが、可愛らしい智ちゃんの顔ではいまいち迫力にかけるんだよなぁ…。

今頃中也さんは探偵社に行ってくれてるかな…。暴れてないといいけど。

「智子。悪いけど猛達に連絡をしてきてくれないか？嫌な予感がする」

「え？判った。どれ持って行ったの？」

「今日は八と九だ」

「了解」

私には良く判らない会話をして出て行った智ちゃんを見送る。智ちゃんが出て行くと必然的に礼朗さんと二人きりになる。

『あの…さっきの八とか九って何ですか？』

「ん？あぁ無線番号だよ。此処では十機の無線を置いてるんだ。裏の人達とも関わるから通信手段は多めに取ってある。破壊されてもいい様にね。無線以外も携帯も五台はおいてるよ」

果たしてそんなにいるのだろうか…まぁ一つに絞らないのはいい事だとは思うけど…。

「ピアス」

『へ？…あぁ此れはずっと付けてて…此れも皆と関わりがあるんですか？』

「うん。皆でお揃い。ほら、俺も付けてるでしょ。孤児院にいた時に見つけて俺らはお互いのを一つずつ交換したんだ」

『え、私孤児院出身だったの？』

「そうだよ。糞みたいな孤児院だったけどね…。あの孤児院の所為で砂姫はよく泣いててね。皆で慰める為に歌を作ったりしたんだよ。歌は覚えてるだろ？最初に会った時も歌ってたし」

『そう‼その歌で聞きたい事があって…』

「ん？何？」

智ちゃんと歌った後、やっぱり違和感が残ってた。どれだけ確認しても二番までしか無いって云ってたけど…

『その歌って二番までしか作って無いんですか？私…ずっと引っかかってて…』

「もしかして三番は覚えてないの？」

『やっぱり三番あるんですか⁉智ちゃんに聞いても知らないって云われて…』

「智子に聞いてもそりゃ判らないよ。三番は俺と砂姫しか知らないから。他の三人は存在すら知らないよ」

『そ、そうだったんですか…その三番を教えてくれませんか？』

ずっと引っかかってた三番。此れを思い出せばきっと…

「いいよ。二人で一人の君と僕♪二人の絆は揺るがない♪」

あぁ…知ってる…

「あふれる思い胸に抱いて♪」

『「ずっと隣で笑い合おう」』

この歌は私と礼朗で作ったんだ。