第三十二話 ページ35
_ヨコハマ・ポートマフィア拠点_
一室に男が二人、此処の首領、森鷗外と幹部、中原中也である。
「やあ中也君、ご苦労様。Aちゃんには会えたかい?」
「え…はい」
「其れは良かった。私は前に道端で会ったんだけどね、あの子、まだまだ可愛いね」
「…彼奴は成人済みですよ」
「知ってるよ」
優雅に座りながら一枚の写真を眺める森鷗外。その写真には一枚の少女の写真。
「この頃が一番可愛かったね。目が死んでしまってるのが難点だけど…君の前だけでは笑っていたんだけどねえ。いつから笑わなくなっちゃったんだっけ…あぁ、割と直ぐに」
「首領」
「如何したんだい?」
少しの苛立ちを含んだ中也の声が、楽しそうに話す森の言葉に被せる。
初めから中也が止めるのを分かっていたかのように森は中也に微笑みかける。中也で遊んでいたらしい。
「Aからの伝言が」
「Aちゃんから?」
「ただで済むと思うなよ。だそうです…あと、宝箱を開ける呪文が如何とか…」
「宝箱⁉そ、其れは本当かい⁉」
「え、ええ…」
先ほどまでの余裕がなくなった森に驚きを隠せない中也。優雅に座っていたのに弾けるように立ち上がり中也に詰め寄る森。
「その呪文は?」
「え…えっと…確か、地下金庫三十八「り」の二十四…だったかと」
「こうしちゃいられないよ中也君‼直ぐに行かなくては‼」
「首領‼どこに⁉」
「宝箱を開けにだ」
慌ただしく部屋を出る森を追いかける中也。途中、部下に見られるのも構わずに走り続ける。
辿り着いた先は立入禁止部屋。この部屋には幹部である中也ですら入った事がなかった。
「此処は…」
「呪文の示した場所だよ」
「呪文は地下金庫と云っていましたが」
「彼女には此処が地下金庫だったんだよ。此処は、彼女の為の部屋だったんだ」
「Aの⁉」
今まで立入りを禁じられていた場所がまさかの妹の部屋であった事になんとも言えない気持ちが心に溜まっていく。が、そんな中也を置いてどんどん中に入っていく森。今まで禁じられていた為入るのを躊躇したが、森が何も云わないのと元が妹の部屋だった事実で考えるのを止めて中へ進んだ。
中はAの部屋とは思えない位可愛らしいもので統一されていた。西洋のお姫様が住んでいそうな雰囲気がある。
(…何だこの部屋)
此れが中也の感想だった。
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設定に容姿を加えました。ピアス以外特に意味はないです。
私の趣味です。
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美影(プロフ) - すごく面白いです!言動が漫画、アニメその物で凄く引き込まれます!これからも更新頑張って下さい! (2019年12月14日 19時) (レス) id: 7e8f63469d (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2019年12月11日 11時