あなたのそばに…【文豪ストレイドックス】 (ページ3)

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第一話ページ3

本日非番。
だったはずなのに…携帯電話が鳴り響いている。これに応答すれば私の非番が潰れると私の何かが言っている。
でも、相手は国木田さん。彼の人が非番である私にも連絡してくるなんて余程の事があった可能性もある。(この間1秒弱)

『…もしもし、新井ですが』

《あぁ、A。すまんな非番なのに…悪いが十五番街の西倉庫に来てくれ》

『如何してです？』

《虎が出る。社員総出で逃げられぬよう、周囲を固める》

『社員総出？ってことは…』

《無論、乱歩さんにも…》

『直ぐに向かいます』

《あ、あぁ…頼んだ》

こうしては居られない。私が間に合わず、もし乱歩さんが虎に襲われでもしたら私は死ぬ。
いくら虎でも乱歩さんに擦り傷一つ付けたら許す訳にはいかない。虎を殺して私も死ぬ。

最悪の状態を想像していると再び鳴り響く携帯電話。

『なんですか。今から出るんですけど』

《言い忘れていたが、先に太宰が倉庫に行っている》

『彼の人ちゃんと仕事してるんですね』

《……その太宰に着いて虎の情報を持っていた元孤児の小僧が付いている。どうやら虎に狙われているらしい。仮にも民間人だ、其奴の救助も視野に入れておけ》

『虎に狙われて？如何してですか？虎はその少年を追いかけて？』

《知らん。が、小僧の話を鵜呑みにすればそうなる。小僧が孤児院を出たのが2週間前で4日前には鶴見川で目撃したらしい。虎の被害の事を考えると強ち、間違いでは無いかもしれん》

『……成程。判りました。因みに、その少年。孤児院を出た。というのは里親が見つかったんですか？』

《…いや。経営不振の事業縮小で追い出されたらしい》

『判りました。それじゃぁ、今から向かいますね』

《あぁ》

彼の人1人で十分なのでは…。国木田さん、また上手いこと使われたんだ…。
それでも、社員総出なんて…また彼の人は何を考えてるかわからない…。