恋で瞬く感情 ページ5
「あいつらって、自分でもバカだって分かってるんだな。」
彼女たちの後ろ姿にそう呟いた上杉君。そしてこちらに振り返った。
「それより立花、大丈夫か。」
私は、不安から解放されて、力が抜けてしまって、上杉君に抱き着いて大泣きしてしまった。
「恐かった。上杉君が来てくれてなかったら、私は、私はっ!」
嗚咽でそれ以上言えなくなってしまい、泣きじゃくる。そんな私の背中を優しく、ゆっくり、撫でてくれる。
しばらく泣いて、嗚咽も治まり、上杉君から離れる。
「本当にごめん。迷惑だったよね。これから秀明なのに。私、行くから。上杉君にも、kzの皆にももう二度と会わないから。」
これが私の精一杯の謝罪だった。皆とはずっと一緒にいたい。でも、皆には迷惑を掛けたくない。だから、私が離れるしかないんだ。
私は、秀明に向かって走り出す。
でもすぐに、上杉君に二の腕を掴まれてしまった。
「離して!!」
大声でそう言い、振り切ろうとしたけど、圧倒的に上杉君の方が力が強く、諦めた。
「なんでそんなにも私に優しくしてくれるの。」
何を聞いてるんだろう。そんなことを考えながら、目を伏せた。
「それは、立花が好きだから。」
「え。」
自分の耳を疑い、上杉君の目を見る。その目には、メガネ越しに真剣な光が瞬いていた。
「結構前から好きだった。好きだから、優しくしたいって思うし、立花を守りたいって思ってる。立花、俺と付き合ってくれ。」
そう言う彼の顔は、穏やかだった。私はしばし呆気にとられていたけど、返事をしなくちゃと思い、声を絞り出す。
「は、い・・・。」
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作者名:ぬの | 作成日時:2018年5月6日 11時