Call me Aya, please. ページ25
「うっわ、ヤッベ。マジかよ…。」
そう言ったきり、顔を俯かせた上杉君。
全然名前で呼んでくれないから、耳元で、しかも英語でお願いしたのに。
もう、早く”彩”って呼んでよ。
それでも、無言でしゃがみ込み、待っていた。
辺りはもう暗く、周りの家々には光が灯っている。夜空を見上げると、上杉君との思い出が蘇ってきた。
また私は、心に思い出を刻む。星のように___。
上杉君とのことを考えていると、不意を突かれた。
「________________Aya.」
「え?」
小声で囁かれた声は、あまりにも甘かった。
「Aya._________Call me Kazunori, please.」
もう一度、噛みしめるような私の名前が聞こえる。
私は色めき立って、耳まで真っ赤になった。うわあ、破壊力、ヤバい。
「おい、聞いてんのか。」
「え?」
上杉君はムッとした顔を私の耳に寄せる。
「_________Call me Kazunori, please.」
え、嘘。私が上杉君のことを名前で?無理無理無理。レベルが高すぎる。
一人、バクバクする心臓の音を聞きながら、悶々と考える。
「俺の名前、忘れたか?」
「忘れてないもん。」
意地悪な笑みを浮かべた彼は、私の顔を凝視する。
ううう、言わなきゃダメだよね。でも、恥ずかしいし。
チラリと上杉君を盗み見る。まだ悪戯っ子の笑みを称えている。
「言わなきゃ、ダメ?」
苦し紛れにそう聞く。
「そうだな、言わなかったら、俺も一生お前のこと、立花って呼んでやるよ。」
「ええっ!」
一生立花呼びには耐えられない気がした。うーん、仕方ない。
「_________________Kazunori.」
「ん、もう一回。聞こえない。」
そう言って笑ってくる彼は意地悪だ。
「__Kazunori………わっ。」
いつのまにか、彼の胸の中にいた。
「和典君?」
「彩。」
ん、やっぱり君呼びの方がいいかも。
「好きだ、彩。」
「私もだよ、和典君。」
______________Call me Aya, please.
_______それがこの夜の出来事
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作者名:ぬの | 作成日時:2018年5月6日 11時