夜空に描く星彩 ページ20
「上杉君は何か星に関する話ある?」
文系の私と理系の上杉君が同じテーマに沿って話すというのはすごく勉強になることだった。
「そうだな。じゃあ、こんなのはどうだ?
『星の数ほど…』って言葉あるだろ。星の数っていうのは具体的には分からないんだけど、銀河だけで
1000億以上、更に恒星だけで2000億以上あるんだぜ。でも、多すぎて逆に分かんないみたい。」
銀河?恒星?聞いたことあるけど、具体的になんだろう。
「あ、銀河っていうのは多くの恒星の集まりのこと。
恒星は太陽のように自ら光を放つものだ。」
ご説明、ありがとう。数字で星を捉えるのは、流石上杉君だね。
「じゃあ、数学的に捉えると安易に『星の数ほど…』って言ってはいけないね。
国語的なら『ものすごく量が多いようす』っていう意味だけど。」
「そうだな。」
数学的に捉えたら、星に惑わされることなんてないのかな。
「でも、俺思うんだ。」
何を?
「星々のきらめき___星彩はあくまで冷ややかで、それがあまりにも美しくつい忘れがちなんだけど、夢想したり夢を羽ばたかせたりする場所じゃなく、自分自身を突き付けられ、逃げようもなく過去と未来について考えさせられる空間だって思うんだ。」
私は目が真ん丸。理系な上杉君がそんなことを考えてるなんて。
「確かにそうかもしれないけど。」
「でも、星を見ていると私たちは、警戒心や自尊心から解き放たれ、生まれたままの子供みたいに素直な気持ちになるんだよ、きっと。」
上杉君が驚きの表情でこちらを見る。でもすぐにフッと笑う。
「確かに、こうやって俺の想いを話してるのも素直になれてるからかもな。」
きっとそうだよ。星彩には逆らえない力があるのかもね。
星々は長い時の流れを含んだ光の飛沫が空中を飛び散り、清め、静謐を広げていく。
満天の星を仰いで上杉君は、どんな事を考えているのだろう。
「あのさ、俺、今不安なんだ。俺たち、これから衝突したり、擦れ違ったり、もしかしたら別れるかもしんないじゃん。星彩の下でそんな事を考えてた。
でもさ、立花の言葉聞いてそうじゃないかもって思えたんだ。
確かに、未来について考えさせられるんだけど、そこに素直な感情も入り混ぜて考えることもできるんじゃないかって。
俺の素直な気持ちは、永遠に立花の側にいたいって思ってる。」
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作者名:ぬの | 作成日時:2018年5月6日 11時