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薄紅色の想いにのせて ページ13

何とか上杉君が開いてる席を見つけてくれて、そこに腰を下ろす。私だけ座るのは気が引けたけど、kzで鍛えてる上杉君より、私の方が圧倒的に体力も少ないので、ありがたく座らせてもらった。

その私の前に上杉君が立つ。まだ何となく気まずくて、目的の駅に着くまでずっと無言で俯いていた。

電車を降り、改札を通り抜けたら目的のショッピングモールは目の前だった。





「わあ、駅から近いんだね。」


「そうだな。結構人もいるっぽいし。」





う、素っ気ない。それが上杉君だって分かっていても何だか悲しかった。

やっぱり私のこと好きじゃないのかな。あの時の告白は一時の気の迷いだったとか。

そう考えると、地の底まで沈んでいく気持ちだった。





「おい、テンション下がってるぞ。どうかしたか。」





あなたのせいよ、と言いたいところをグッと堪えて、無理矢理笑顔をつくった。





「なんでもないよ。早く行こ。」





上杉君は一瞬不審そうな顔をしたが、それ以上は何も突っ込まずに歩き出した。

慌てて私もその後ろを追う。歩調はゆっくりだけど、隣を歩くのは躊躇われた。

本当、私ばっかりが上杉君のことが好き。





「そういえば、どこ行くんだ。」





急に振り返ってそう聞かれたので、一瞬面食らいながらもしっかりと答えた。





「えっと、ノートとシャーペン、後は参考書を買おうと思ってるんだ。」


「参考書って、前も買ってなかったか。」





あら、よく覚えてるね。あの時はまだ、好きって気づいてなかったから幸せだったな。





「前のは、もう終わらせちゃって。繰り返しやるのも大切だと思うけど、もっといろんな問題にも触れてみたいと思うから。」


「じゃ、俺が選んでやる。俺のも選べよ。」




そんな風に自信満々に言う上杉君はとてもカッコよかった。

笑いながらオッケーを出し、暗い気持ちを切り替えてまずは本屋さんに向かった。

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作者名:ぬの | 作成日時:2018年5月6日 11時

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