【wrwrd!】とある国の軍事情エーミール編 (ページ7)

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第六話：Episode: Butterfly ページ7

僕は王族の生まれだった。

どうやら先天性なもので生まれた時から色素が抜けていたらしい。

メイドや執事、大臣。皆、僕のことを『化け物』と呼ぶんだ。

でも、僕の両親は優しかったんだ。

けど、心のどこかで両親さえ疑ってしまう。

本当は僕のことが嫌いなんじゃないかって。

そんなはずないのに。黒い何かが僕に絡まりついてくる。

自由に羽ばたかせてくれない。

僕はいつも空ばかり見ていた。

自由に飛ぶ鳥達が羨ましかったから。

そこから自分が全て悪いと思うようになり、自己犠牲精神がうまれた。

自分なんか。僕なんか。どうでもいいから。

周りさえ幸せならそれでいい。

僕が居なくなっても誰も悲しまない。

運命の神様も僕がどうやら嫌いらしい。

戦争が起きたのだ。

お父様は瓦礫の下敷きに。

お母様は捕虜として捕まってしまった。

お母様は子供の僕を庇ってくれた。

別れ際の言葉はとても切なくて。でも、泣くのを我慢してた。

「エーミール、ごめんね…」

「そばに、いれなくて」

「置いてしまって」

「大丈夫よエーミール」

「きっと、自分の居場所を見つけられる時がくる」

「お母様が居なくても大丈夫。きっと…」

『きっと…自分を認めてくれる人に愛してくれる人に尊敬してくれる人に心を許せる人に笑いあえる人に心配してくれる人に…【相棒】と呼び合える人に会えるわ…信じてるから』

それから軍事施設に入らされることになった。

そうは言ってもまだ子供だから人質みたいなものだった。

そこでも僕は化け物と呼ばれていた。

そこでは見た目だけじゃない。

10にもならぬうちにそこらの大人の知識量があったからだ。

それには訳があり、人質の間は読書しか許されなかったから。

多大な量の本を読み本の虫と化してしまったから。

18にもなる頃にはその軍の誰よりも知識を持った人間になった。

少しこの世界に飽きてしまったのだろうか。

僕は自分一人で軍を、国を壊滅させた。

生きる場所に困った僕は名前と容姿と戸籍を変えて別の国に行った。

それを転々としてきた。

自分の正体を知ってしまった軍はもう最後。

そんなことから僕は『白き毒蝶エーミール』と呼ばれるようになった。

僕の力を利用すればその力にのまれ死ぬ。

本当の自分はもうどこかに行ってしまった。

自分は何がしたいのだろう。

それが分からない。

解らないものなんて無いはずなのに。