君を攫いたい 《ゆとそや》

はしもっちゃん ページ35

優斗side








橋｢優斗ー｣


｢おぉ。
久しぶり、はしもっちゃん！｣







瑞稀とは頻繁に連絡を取ってるけど、はしもっちゃんと最後に話したのはいつだったか…


しばらく会わない間に、一段とカッコよくなってて驚いた。




｢いやー、元気だった？
マジで久しぶりだよね｣


橋｢優斗カッコよくなった？｣


｢え、嫌味！？
それよりもはしもっちゃんの方がさぁ…｣


橋｢そんな事ないって。

あ、何か頼む？｣





丁度 お腹も空いてるし、話も長くなるかもしんないから〜という事で 定食とケーキセットを注文した。



ファミレスは人に聞かれたくない事を話すのには向いてないから、個室の店を選んだ。



｢そういえば はしもっちゃん、大学行くの？｣



お世辞にも成績が良いとは言えないから、瑞稀と同じ所に行くのは厳しそうだけど。




橋｢んー、｣





橋｢瑞稀には内緒にして欲しいんだけど…

俺、親の転勤について行く事にしたんだよね｣



｢え、？｣




ーいつまでも、瑞稀と一緒にいるわけにはいかないでしょ？



なんて笑って言うけれど




｢話って…｣


橋｢あ、違う違う。
本題はこっからね｣





はしもっちゃんが本題を切り出そうとした、

そのタイミングで 丁度注文したハンバーグ定食が来たから、ひとまず食べることにした。





｢いただきまーす｣



あ、これめっちゃ旨い



初めて来たけど、今度そうやんも連れて来よ〜って思ってたら、

はしもっちゃんも瑞稀連れて来よ…って呟いてて 思わず笑ってしまった。





｢ホント、瑞稀好きだよね｣


橋｢そりゃぁ、まあ…親友ですから(笑)｣




｢なのに、大学は別にしたんだ。
理由とか聞いても良い？｣





橋｢良いよ。

…俺さ、瑞稀の事が好きなんだよね。
でも、瑞稀には他に好きな人がいるからさ｣





｢…はい？｣




橋｢親の転勤って良い機会だと思うし、
瑞稀と離れて新しい場所で彼女作るのもアリかなーって｣



｢……、｣





橋｢…ずっと、ずっと片思いしてたんだけど
もう、終わりにしたくてさ｣


｢…そっか｣







橋｢だから、瑞稀の事よろしく。
多分怒るだろうけど、上手く言っといて(笑)｣




ハンバーグを食べながら あっけらかんと言うはしもっちゃん





きっと、色々考えた末に出した答えが
『瑞稀と離れる事』なんだろうから


告白する気はないの？それでいいの？
なんて、無責任な事は言えるはずもなかった。

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