居候が増えたんだが 3 ページ3
貴方side
家族が、死んだ。
大好きだったお母さんも、お父さんも、お兄ちゃんも、皆事故で死んだ。
お兄ちゃんが庇ってくれたお陰で私だけ助かったけど、逆にそれは私にとって不幸の始まりだった。
「ねぇ、あの子の家族交通事故で皆死んだんだって!!」
「あの子だけ助かったらしいよ。」
「かわいそ〜。」
可哀想、って同情すればいいものだろうか。
言うだけで、私の元へは誰も寄ってこない。
そんな毎日が続き、ある冬の寒い日にいつも通りに家に帰ると、私は死にたいって思った。
急、だろうか。
でも、広い部屋にポツンと1人だけ立っていて、いつもなら誰かが笑顔で迎えてくれていた事を思い出して、自分は辛くなったんだ。
荷物を置き、ぼーっとしながら屋上へと向かい、躊躇することも無く、私はそこから飛び降りた。
貴「(...これで、皆の所に行ける。)」
暗くなっていく視界に、私は自然と笑みが零れた。
しかし、その時耳元でにゃおと鳴く声が聞こえ、気が付いた時私は多少の痛みはあったが普通に生きていた。
ク「...目、覚めた?」
貴「何で、何で私生きてるの!?だって、あの場所から飛び降りたら死ぬに決まって...っ!!」
ク「...死ぬなんて、駄目だ。」
初対面の癖に、何て思って再び自分はそこから飛び降りようとすれば、その人に身体を抱き寄せられる。
ク「...お前はもう死ねないよ。吸血鬼、だし。」
貴「...は?」
吸血鬼?
一体この人は何を言っているんだろうか。
...しかし、そんな疑問もすぐに解決する。
ク「お前の怪我、さっきより大分治ってるだろ?吸血鬼は傷の回復が早いんだ。」
貴「...ぁ、本当、だ。」
人間なら、こんな事有り得る筈が無い。
つまり、それが表す意味は...。
貴「...本当に、私は吸血鬼になったの?」
ク「...ごめん。」
彼が謝った理由が分からない。
驚いただけなのか、それとも絶望したのか。
自分の気持ちがついていけてないのに、彼はどんどん話を進めていく。
ク「...ごめん。でも俺、お前に生きて欲しかったから。」
貴「...っ!!」
生きて欲しい、なんて。
そんな事を言われたのは初めてだった。
だから、嬉しかったのかもしれない。
貴「...名前は。」
ク「クロ。お前は?」
貴「A。クロ、ね。」
握った手の温もりが優しくて、離したくなくて、きゅっと力を込める。
...少しだけ、生きていて良かったと思えた。
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NANA - 面白い!期待! (2016年10月7日 22時) (レス) id: 34c39fb156 (このIDを非表示/違反報告)
イルカ(プロフ) - リヒたん達出てくるの楽しみに待ってます(。 ・`ω・´) キラン☆(笑) (2016年10月4日 8時) (レス) id: 97a9255fca (このIDを非表示/違反報告)
nahiisu@TAKUYA∞厨(プロフ) - イルカさん» 同士が沢山いて嬉しいです!!リヒたん達まだ出してないので、そろそろ出したいなぁって思いながら取り敢えずは椿(笑) (2016年10月4日 7時) (レス) id: ce1eb46aa3 (このIDを非表示/違反報告)
nahiisu@TAKUYA∞厨(プロフ) - さやかさん» ありがとうございます!!少しずつですが、頑張って更新させてもらいます(≧ω≦)b (2016年10月4日 7時) (レス) id: ce1eb46aa3 (このIDを非表示/違反報告)
イルカ(プロフ) - 私も怠惰と強欲組好きですよぉぉぉ(テンション高くてスイマセン)更新すごく楽しみにしてます!更新頑張ってください!あ、でも無理はしないでください! (2016年10月4日 1時) (レス) id: 97a9255fca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花梨 | 作成日時:2016年9月26日 19時