一粒の砂２ (ページ34)

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花香る４ページ34

「どうする？」

携帯を胸ポケットへ戻し、問いかける。

「・・・」

「雨・・・本格的に降り出したね」

すると、智くんは駅に行き交う人達の傘を見て、そうだね。と呟いたけど、それ以上何も言わず、黙ったまま。

「・・・雨、降ってるし」

「うん」

「駅ビルのスタバでいい？」

智くんが引き留めたくせに、何も言わないから提案したのに、ふって、さっきまでちょっと思い詰めている顔してたくせに、目を細めて笑った。

「翔くんはスタバ、あいかわず好きだね」

「あっ、なんかバカにしてるでしょ？」

「ふふふ、違うよ・・・変わらないものがあるっていいなぁ。って・・・」

「・・・」

最後の方はごにょごにょと話すから、聞き取りずらかったけど、智くんの表情がまた曇りだしたから、聞けなかった。

「好きだよ」

「えっ？」

「スタバ」

「ふふふ。特にフラペチーノ。だろ？」

「うん。今はなんのフラペチーノ出てるんだろ？」

俺がわざと、るんるん♫とスキップをしたら、智くんが、翔くんは時々、女子みたいだな。って言うから、俺にとってフラペチーノは特別なんですぅー。と言って、智くんの腕を掴んで、駅ビルのエスカレーターへと向かった。

その途中、智くんが俺の掴んだ手をスルッと解いて、そっと繋いだ。

まるで今日の天気のような智くん。

ねぇ

智くん

さっき言ったのは冗談じゃないんだよ？

俺にとって

フラペチーノは

いつだって

特別なんだ

あの時

智くんが

俺の夢を１つ叶えてくれたから

ううん

あなたがいなかったら

俺の世界に

光はなかったから

だから、

もしあなたの心を

今

雲が覆いつくそうとしているなら、

この心臓が壊れてもいい

おもいっきり

吹くよ

弱い風しか起こらないかもしれないけど

全力で

智くんのために