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.。oO命の話Oo。. ページ5

とある世界の、とある国に、
1人の女性がいた。

家族のいなかった彼女は、
同じく家族のいない男と出会った。

その優しい男と結ばれて
平凡だけど幸せな毎日を過ごし、

そして
――大切な“命”を産んだ。

ひとりぼっちだった彼女と男は
やがて結ばれ2人となり。
そして今、3人となった。

かけがえのない、“家族”となった。

彼女は、生まれてきた自分の子供に
精一杯の愛を込めて育て続けた。

愛情を受けて育った子供は
天使のように笑い、明るく成長し続けた。

しかし

幼き子供は、10歳にも満たない間に
――この世を去った。

彼女は酷く泣き叫んだ。

「私もこの子と一緒に死ぬわ・・・!」

鋭いナイフを片手に、彼女は男を見つめた。

「貴方もよ。だって私達は家族でしょう!?」

泣き続ける彼女に、男はそっと手を伸ばして
ナイフを握る、彼女の手に自分の手を重ねた。

「家族はいつも一緒にいなきゃダメなの。たとえ何があっても・・・!」

そう言って彼女はナイフを振り下ろそうとした。

しかし、男はそれを止めた。

「落ち着いて。よく考えてごらん」

静かに、男はそう言った。

「確かに、あの子にとっての家族は僕達だけだ」

落ち着いた口調で涙を流し、
男はナイフを握る彼女の手を握り締めた。

「でも、だからこそ、僕達は生きるべきだ」

強く、男は言葉を続けた。

「あの子を知っているのは僕達だけ。
僕達が死んでしまったら、
あの子を知る者は誰1人としていなくなる」

男は彼女の手から優しくナイフを取り上げた。

「全ての者は、忘れられて初めて――死ぬんだ」

男の手から、ナイフが静かに落ちる。

「僕達があの子を覚えている限り、あの子は生き続ける」

* * *

それから、2人は多くの人に出会った。

そして、出会った全ての人達に言った。

「ねぇ、聞いてくれる? 私の子供の話を――」

それを聞いた人は、自分の家族、友達に言った。

「知ってる? あの2人の子供の話」

その話は、どんどん広まった。

まず、国中に広まっていき

誰かがその話を本に書いて、

その本が世界中に広まって――

そして、やがて――

「ねぇ、このお話知ってる?――“3人の家族の話”」

今日もどこかの世界で、誰かが話し始めるのです。

そうして“3人の家族”は、

多くの人々の心の中に存在し、語り継がれ、

その存在が忘れられない限り、

――永遠に生き続けるのです。

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ユイ(プロフ) - 本当に素敵な作品ですね…。なぜか涙が溢れてきます(つд⊂) (2016年4月24日 21時) (レス) id: 3183564049 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アクア | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/furanandberulove/entry-12121019747.html  
作成日時:2016年4月23日 15時

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