十五巻 ページ15
『……ん』
重たい瞼をゆっくりとあげて起き上がる。
いつも見慣れていない部屋に少し驚いたが、数秒後には冷静になっていた。
『そうだ、私妖怪の屋敷に来たんだった………』
寝て起きても変わらないということはこれは夢ではないのだろう。
まだにわかに信じがたい部分は沢山あるが。
ボーっとしているとコンコンというリズムのいい音に我にかえった。
『ど、どうぞ！！』
慌ててそう声をかけると、襖が開き出てきたのはグルッペンさんだった。
グルッペンさんは偉い方だから私のところにはなかなか来ないだろうと思っていたので驚いて目を見開く。
gr「朝食の時間だ。付いてこい」
『…はい』
昨日はあんなに穏やかに笑っていたのとは裏腹に今日は気難しそうな顔をしている。
その表情の変わり具合に少し不安になった。
――――――
gr「………」
『………』
ただひたすらに廊下を歩く音だけが耳に届いてくる。
なにか話しかけたいが私にこの沈黙を破る勇気は無かった。
gr「おい」
『えっ！？は、はい！』
何を喋ろうかと迷っている時に、グルッペンさんはいつもの低い声で私に話しかけてくれた。
gr「……すまなかった」
『え？』
だがその声に活気は無く、悲しげな表情を浮かべている。
どうしてグルッペンさんが私に謝っているんだろう。
gr「俺の仲間のせいで怖い思いをさせてしまったようだから……」
あぁ、そんなことか。
『グルッペンさんが謝る必要は無いですよ？』
gr「……何故だ。お前を危険な目にあわせたことには変わりはないだろう」
『でもゾムさんが悪気があってやった訳では無いでしょ？』
gr「それはそうだが………」
『グルッペンさん』
私はグルッペンさんの目をしっかりと見つめる。
彼はとても不安そうな捨てられた子犬のような目をしていた。
そんな彼を見ながら私は人差し指を自分の口に添えて悪戯っぽく笑った。
『しつこい男性は嫌われますよ？』
グルッペンさんは驚いたように目を見開いたあと、嬉しそうに目を細めた。
gr「……なら、嫌われないようにしないとな」
そう言って微笑んだ彼の顔はとても魅力的だった。
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うどん(プロフ) - 彩音さん» ありがとうございますー！！！頑張って描いたので嬉しいです！最後までお付き合い頂きありがとうございます！ (2020年5月28日 1時) (
レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好みのお話でした〜！そして最後当たりのイラストうますぎる･･････ (2020年5月27日 6時) (レス) id: 5d687b4a81 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - 眠猫さん» とても嬉しい限りでございます。最後まで読んでくださりありがとうございました！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
眠猫(プロフ) - 感動しました。少女の死んででも会いに行こうとするのなんてﾉω･､） ｳｩ･･完結おめとうございます！ (2020年5月23日 13時) (レス) id: 290d396106 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - ロルくんさん» ありがとうございます！！頑張ります！！！！ (2020年5月2日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うどん | 作成日時：2019年10月2日 21時
