愛言葉と相執【はじめしゃちょーの畑】

repeat-3 ページ36

「な、に」



急に。


そう言おうと思ってるのに、言い淀む。



変な緊張感に声がうまく出ない。






なんで、このタイミングで。



「ごめん、俺酔ってなんかない。飲んだけど、もう酔い冷めてるし」





「じゃ、なん、で…」








後ろから抱きしめられてるからようへいの表情は読み取れない。







でも肩を包む両腕の力は心なしか強くなった気がした。




「会いたくて、呼んだの」







また強くなった。肩に頭が乗せられ話す声がくぐもる。


その声が作ったそれは私を驚かせるには十分すぎた。






「俺気づいてる。Aが、俺と付き合ってるなんてそう思ってないこと





だから、聞いて」





どくんどくん、とどっちの音か分からない程に、苦しい程に心臓は大きく鳴る。








「俺がご飯誘うのも、奢りたいのも、その帰りは送るのも、日用品選んでもらって二つずつ買ったのも、はじめくんと二人で話してるのに嫉妬してんのも






全部、ずっと好きだから」








心臓が一際大きく高鳴った。








「Aが俺の最初の告白に応じたのも冗談だって知ってた。

それ利用して、俺が頑張ればいいと思ってた。


なのにさ、待ち合わせ時間より早く来て、ちゃんと毎週電話してくれて、俺の誕生日にわざわざ慣れないのに髪まいたりして、あげく、かっこいいなんて言われたりしたらさ





自惚れる」









肩からようへいの顔が覗く。









近い。近い。




でも、目が離せない。



だんだん近づく距離。





あ、重なる。









……そう思えば。








 









 









「……だめだよ……」



あの汚い感情を、思い出してしまう。

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