君を照らす (ページ5)

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Fifth. ページ5

というか、冷静にこの状況結構やばい気がしてきていて。

『あの、ほんとすみませんでした。ありがとうございました。失礼します。』

冷静にアイドルとこんな誰が見てるかもわからない場所で2:1で話してるなんて危険すぎると思ってそそくさとその場を離れようとする。

そのお辞儀した頭が何かにぶつかりものが落ちた音。

そのまま下を見れば、どう見ても岩本さんのTシャツの首元に引っかかってたサングラス。
そして、どう見ても歪んでる。

『あ、… 』

「え、？… 」

『ほんっとうに、すいません。ほんとに。弁償します！』

「ああ、別にいいよ。高くないし。」

『いや、絶対高いです。見てわかります高いです。弁償します。お願いします。』

「え、ほんとにいいって。」

ケラケラと口元に手を当てながら笑う彼と焦る私。
でも、これ以上ここに留まることこそほんとに良くない気がする。

『これ、私の連絡先です。ほんとに、すみませんでした。』

勝手だけど、名刺を渡して頭を下げてその場を離れる。

お手洗いを済ませ、帰る途中の個室にはもう彼らはいなくて
とんでもない事をやらかしたとため息をつきながら席に戻ると
後輩から遅いと怒られ。

会計を済ませ、店を出て後輩と別れる。

冷静に考えて、見ず知らずの女に連絡なんてしてくるはずもなく、罪悪感だけが募っていく。

『なーにしてんだろ、ほんと。』

空を見上げて何気なく呟く。
ため息をついて、前を向いて進もうとした時に鼻を掠めた
その匂い。

「 Aさん。」

振り返れば、そこには帽子とマスクをした彼。

『岩本、さん、？』

「うん、岩本さん。」

『あの、なんで、… ていうか、あの、お金！』

「ううん、ほんとにいらないそれは。」

『いや、でもそれはほんとに、』

「じゃあ俺のわがままきいて。」

『え、？あ、はい。』

「俺とまた会いません？2人で。」

『 …は、？』

彼のこの一言で、私の人生で1番輝いていた恋が始まった。