空色ホットライン (ページ14)

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『…いいの？』

「え、いいんじゃん？」

『…ふっかの唇なんて、不可抗力以外で触ったことない。』

「ぷりぷりしてそうだね。」

『もっちもちだろ。エビみたいに言うな。』

「もっちもちのぷりんぷりんだよ！」

『…佐久間。お前変な想像すんなよ。』

メンバーの、何なら先輩の、あろうことか男の唇の話なわけで。
気を正そうと頭を振ってみても、もっちもちでぷりんぷりんの可愛い唇が頭から離れない。

だめだ、おいリーダー。おい俺。しっかりしろ。

正直、アイドルでSnowManで。その気になれば唇なんて選り取り見取りなわけで。

まぁこの先の人生で選りすぐるつもりなんかないけど。
つまり人を一週間の遠距離恋愛がもたらした欲求不満に巻き込まないでほしい。

話の発端はそもそもそこだ。

『そんなに恋人とイチャイチャしたいなら電話でしたらいいじゃん。』

「？電話なら毎日してるよ？」

助詞が違う。電話「を」するのではなく、電話「で」すればいいって言ってるわけで。

『今どきオンラインでできないことなんてないだろ。』

「…んん？」

話の意図を読めず、佐久間は首をクリっと傾ける。

こいつも案外鈍感なとこあんだよな。本物の天然かもしれない。

『だからな、ビデオ通話っていうものがあんじゃん。』

いやいや、いい大人に鈍感ぶられても。
こんなメンバーもスタッフもいるどっ昼間のレッスン場で皆まで言いたくはない。

呆れたようにスマホをトントンと叩いてやると、その発想はなかったと言わんばかりに佐久間の瞳がみるみるうちに丸まった。

それからガバリと体を起こし大きな両手で俺の手を取り、

「そっか！そうだな！！！照ぅーありがとう！！！」

「だから！！佐久間！！うるせえーって！！」

三男の怒りの叫びと笑い声が響くのを合図にして、俺も立ち上がる。

今日のレッスンは、うん。

なんとなくはかどりそうだ。