●○猫缶、現在の頭の中2 ページ6
バッと、声がした方を振り返る三人。そこにいたのは、眉間にシワを寄せた一人の少女と、怯えた様子の一人の男の子だった。
少女は猫缶に詰め寄るり胸ぐらを掴むと、すごい剣幕で怒鳴り散らした。
「わたし達の事も、早く書け! 今書かなかったら、また、書かず終いになる!! ほら、書け! 書け!!」
見知らぬ二人の乱入に同様しながらも、気が強い望月は少女に訪ねた。
「……あなた達、だれ?」
少女は望月の方を見やるとニヤリと笑い、猫缶を掴んでいた手を離した。
「あー……。はじめまして、でしたっけ。わたし、猫缶を悩ませている新しい創作の主人公、リリャンといいます」
新しい創作の主人公と聴いて、望月と雪の表情が強ばる。そんな事は気にも留めない様子で、少女、リリャンは話しを続けた。
「あっとは、あ、そうそう。こっちでグズグスしてんのが、クゥって奴です。……オイッ! 先輩達に挨拶ぐらいしろっ!!」
クゥと呼ばれた男の子の肩が、ビクッと震えた。そして、恐る恐るという感じの小さい声で、
「クゥ、と、申します……」
とだけいい、顔を伏せてしまった。
びっくりしたのは、もちゆきペアである。まさか、自分のライバルがこうも早く目の前に現れるとは思わなかった。望月は語尾を強くしてリリャンにつっかかった。
「あなた達のせいで、こっちの話、全然進まないんですけど。ちょっと一旦、猫缶の頭から離れてくれません? こっちには、更新を待ってくださる読書さんがいるんです」
「ほー……。先輩のファンの事なんて、こちらからしてみら、しょーじき、どーでもいいんですよ。わたし達の物語がちゃんと活字になって残るなら、先輩達を蹴落とす事も、躊躇しませんよ?」
その言葉で、望月がキレた。
「……ふぅん。先輩の怖さ分かってないようね……。私が叩き込んであげるわ」
望月が手をバキバキとならし、手招きをした。
「……後輩といえど、手加減はしないよ」
リリャンはそれを聞いて嬉しそうに笑い、言った。
「おー。こんなに早く先輩と殺り合えるなんて思わなかったなぁ……。じゃ、遠慮なく」
二人の間に殺気が漂う。一触即発。
「ちょっと、二人共!! 一旦やめっ!!」
このままでは流石にマズイと思ったのか、ここへ来てやっと猫缶が二人を制止した。
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作者名:イワナガ印の腐った猫缶 | 作成日時:2017年11月20日 21時