これ以上頑張ったって。【音駒】

42.目を瞑れば ページ4

ー香苗ー



目を瞑れば、懐かしい先輩との思い出。





入部した時、挨拶した時、教えてもらった時。





なんでこんなに鮮明に出てくるの？






なんか、お別れみたいじゃん。止めてよ。






｢ちっ、なんだよあの人。くそうぜぇ｣






部員の1人の声がほかの部員へと伝染していく。






イライラとストレスの溜まる日々。






先輩がいないと私、楽しくないです。





御見舞に行こうとしたその日から、先輩が部活には来なくなった。





学校では姿は見るけど、その姿はあまりにも痛々しくて。







研磨さんは私に深く考えないでいいと言う。






そんなこと、できないよ。






｢……っ考えるのやめたら、ダメなんだよ・・・っ！｣







悩み悩んで答えはでなくて。






｢東野、少し休むか？｣





｢え？｣






気づいたら目の前に夜久さんがいた。






その私と同じくらいの身長は心配そうに私を見つめている。






｢……あ！大丈夫です！ぼーっとしてました！｣






｢なら、いいんだけど……無理、すんなよ？｣






だめだめ。練習の邪魔になっちゃだめ。






先輩は私が支えるんだ。






いつでも先輩が戻ってこれるように、私が先輩の居場所を作ってあげるんだ。







そして私が、みんなを支えるんだ。

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