好きだ21 ページ22
唄side
またまた私sideです。
今は大学で再来週開催される学祭に向けて展示する絵を描いています。
油絵専攻の私はテーマは自由なのでA1サイズのキャンバスに絵を描いてます。
去年は近くの公園の風景画を描いたので今年もどこかの風景を描こうと探していたけれど最近はせっかくバレー部を見学させてもらっているので人物画を描くことにしました。
私のテーマは『翼』
この前の一君がスパイクを打つとき羽根が見えたのを更に力強く幻想的に描いてみようと奮闘中です。
ただ1つ問題なのがこの前の女の子達に絡まれた日から一君を見るとドキドキしてしまって自分の描いた一君の瞳にすらドキドキしてしまう始末。
なかなか筆が進みません。
なぜドキドキしてしまうのかは分かってるつもりです。
それは私が一君に恋してるから。
でもこの気持ちは伝えてはいけないもの。
私は一君の足枷にしかならないから。
だからこの絵は密かなラブレターみたいなものにすることにしました。
しかしそう思えば思うほど自分の絵に納得できず更に筆は進まなくなるばかり。
『はぁ〜』
めったにつかないため息が思わず漏れる。
すると肩を優しくぽんと叩かれて顔を上げると、いつもお世話になっている教授がいた。
教授はかなりのおじいちゃんでおっとりした雰囲気が大好き。
教授はもともと喋るのがゆっくりなので見ただけで殆ど何を話してるか分かるのも好きな理由の1つ。
教授「ため息なんて珍しいね。」
"筆が思うように進まなくて"
デッサン用のノートの端に返事を書く。
教授「ほぉ、人物画ってのもまた珍しいね。」
"最近、モデルになってくれる人がいるんです。"
教授「それはコレかい?」
楽しそうに小指を立てニヤッと聞いてくる。
"違いますよ!でも、私の好きな人です。"
教授「そうかそうか。このラブレター、伝わるといいね。」
教授の優しい言葉に思わず俯く。
"いえ、この気持ちは伝えないつもりです。"
教授「おや、どうしてだい?」
"彼はとても紳士で魅力的な人です。でも私は障害を持ってて、彼の重荷にしかなれない。"
教授「ふむ。その気持ちは分からんでもないがね。何というか、そんな風に考えてしまうのは勿体無いねぇ。」
教授はやれやれと言ったように私を見る。
勿体無い??
私は教授の言おうとしてることが分からず首を傾げる。
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作者名:晴雛 | 作成日時:2017年12月3日 4時