小さな恋物語

誰よりも　kyuuso ソゴウ ページ5

「なぁ、聞いてよ。こないだ、セイヤくんとな？」


彼氏のタイスケに、つい最近彼と同じバンドのメンバーと出かけたことを話す

彼は、いつも笑って聞いてくれるのに

今日は、ちょっと険しい顔してる


「タイスケ、聞いてる？」

「...聞いてるけど」

「なんか、不機嫌じゃない？」

「...別に」


明らかに「別に」じゃない顔してるんやけど


「ほんまに？」

「...あのさぁ」

「ん？」

「...やねんけど」

「え？」

「Aが他の男と仲良くすんの、嫌やねんけど」

「...！」


彼のまっすぐな瞳が、私を見つめる


「ずっと黙って聞いとったけどさ。ほんまは、めっちゃ嫌やった。

　Aは、俺の彼女やのに...なんで、他の奴らと...って」


少し不安そうな顔でうつむく彼の声は、だんだんと小さくなる


「...俺より、セイヤたちの方がいいん？」


怒ってるようで、泣きそうな声が、静まり返った部屋に響く


「...そんな訳ないやん」


私は、そんな彼の手に、自分の手を重ねた


「私が、タイスケ以外の人を好きになる訳ないやろ？」

「...ほんまに？」

「当たり前やん。そんなこともわからんの？バカなん？」

「えぇ...笑」


笑顔が戻ってきた彼を抱き締める

彼も私を抱き締め返す


「他の誰よりも、タイスケが好き」

「...俺も、他の誰よりもAが好き」


やっぱり、彼の腕の中は安心する

...誰よりも、大好きやで






「バカは言い過ぎ」

「あは。ごめん」



奏雨さん、リクエストありがとうございました！

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