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帰り道 ページ45

「ご馳走になったな。あとお節介かもしれないが君の家の夕飯は少し脂質が多いんじゃないか?純粋に量も多いが。もう少し量を減らしてバランスに気をつけた方が」

「分かった分かったって、ていうか俺、そもそも全然家に帰んないから知らないよ……」


酷くげんなりした様子の神威に、そう返される。余裕の無さそうな彼を見るのは割とすきだ。何だか微笑ましい。

そんな彼に私は家まで送って貰っていた。


「で、何でわざわざ家になんて来てたの。ハゲに彼女だなんて、自分から言うなんてらしくないじゃないか」

「らしくないか?それは君が本当に付き合ってなかった頃の私しか知らなかったからだろう。本来私はそういったことをコソコソと隠したりしないんだ」

「そういうことじゃなくて……俺、結構待ってたんだけど、学校で」

「そのようだな。帰ってくるのが遅かった。私が一体何時間あまり仲良くない神楽さんと無言の時間を過ごしたと思ってるんだ」

「え、待ってAって神楽と仲悪いの」

「良さそうに見えるのか?」

「いいや全然」

「そういうことだ」


なんだよそれ、と若干疲れてきている様子の神威。肩を落とす彼の様子を大層愉快だと言いたげな目で見る。その視線に気が付いたのか睨まれた。それが本気のもので無いことくらい私には理解できるが。


「なんか、付き合えたって実感湧かないんだけど」

「湧かなくてもそうなる約束だろう?私だって君の彼氏になる覚悟で君の家に行ったんだが」

「覚悟?それにしては固い雰囲気は無かったけど」

「いや。今日重要なのは認めてもらえることではなく認知してもらうことだったからな。別に否定されても気にはしなかった。晩御飯までご馳走になったし杞憂でしかなかったが」

「神経が図太すぎる」

「うるさいな。番長とやらの彼女は危険が伴うんだろう。ならこのくらいしないと」

「え、俺には必要性が分かんないんだけど」

「……君は肝心なところで頭が良くないな」

「は?」


きょとんとする神威との距離を一気に摘める。
鼻先が触れるくらいの距離になると、彼の美しい瞳が動揺で揺れるのが分かった。


「私に何かあった時、君に責任を取ってもらうために決まっているだろう」


そう告げて、とん、と胸を押すと、彼は崩れるようにその場に座り込んだ。


「なんだ、情けないな。番長のくせにこの程度で驚いているのか」

「Aってまさか結構怖い人?」

「はは、まさか」


そんな大層なものじゃないさ、私は。
確証がなければ、外堀を固めなけりゃ、何もできない。


「ただの臆病者だよ、私は」

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mire(プロフ) - お二方ともコメントありがとうございます!!すぐに返せなくてごめんなさい・・・最後までこの物語にお付き合いいただけると幸いです。 (2020年6月4日 15時) (レス) id: 6258a992b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月7日 18時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
まほ - とても面白いです! 頑張ってください! (2020年4月21日 0時) (レス) id: 1d89b9509f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/  
作成日時:2020年4月7日 21時

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