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下準備 ページ43

「つかA、やけにうかない顔っスね」

「あぁ。今日付き合うか否か決めないといけないのに答えがまだ出ていないからな」

「えぇ……」


そんな呆れたような目をしないで欲しい。こっちだって色々と悩んでいる最中なんだ。
また子さんは「良いじゃないスか、試しに付き合ってみたら」などと呑気なことを言っているが。


「君まさか他人事だと思っているんじゃないだろうな。遊びじゃないんだこっちは」

「まさか。けどここで恋愛経験しておかないと、A一生そういう話と無縁になりそうっスし」

「馬鹿にしているのか」

「ふーん。じゃあ自信があるんスか」

「………」


黙る私にまた子さんは「ほら」と得意げだ。何がほらだ。
だいたい私は彼の彼女面をしていた女達が彼に敵意を持つ人間達から酷い目に合わされた話を聞いているんだぞ。そんな軽々しく決められるか。


「余計な口出しは無用だ。これは私が決めないといけないことだから自分でちゃんと決める。遅れても困るから私は教室に行くぞ」

「あーはいはい」


ニヤつきながら見送られる。結果は分かっているぞと言うように。
分かってるさ、さすがに私だって。




まあ予想はしていたが私の所属しているクラスとは随分雰囲気が違う。
昼休み、やたらとうるさいZ組の教室の前で私は少々の不快感に頭を抱えた。

普段なら自らこんなストレスになる行動はしないのだが。


「何アルか……用事って」

「……」


なんせ急ぎの用事があるから仕方がない。

不機嫌な顔で彼女―――神威の妹は廊下に出てきた。
最初にした会話があんなのであったため、当然の反応だが。


「……先日はすまなかったな」

「別に気にしてないアル」


表情を見ただけで嘘であるということが分かる。
……まあいい。


「君に頼みがあるのだが」

「……何アルか」


訝し気な彼女に少し悪戯っぽく笑って、急に距離を詰めて小さく耳打ちした。まるで悪だくみを伝えるかのように。
私の言葉か、突然顔を近づけられたことかどちらに驚いたのか分からないが、彼女はあり得ないものを見るような目で後ずさった。

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mire(プロフ) - お二方ともコメントありがとうございます!!すぐに返せなくてごめんなさい・・・最後までこの物語にお付き合いいただけると幸いです。 (2020年6月4日 15時) (レス) id: 6258a992b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月7日 18時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
まほ - とても面白いです! 頑張ってください! (2020年4月21日 0時) (レス) id: 1d89b9509f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/  
作成日時:2020年4月7日 21時

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