番長だから ページ21
「てかどいてよ。Aの隣は俺だよ」
「はーい」と間延びした返事をして席を立つ茶髪と入れ替わって、神威が隣に座ってきた。
笑顔を崩して珍しく少し不満そうな顔だ。あくまでも冗談で作っている顔というのが分かる程度だが。
「Aも何軽々しく呼ばせてんの。妬いちゃうよ」
「重たい男だな」
「だって、俺が最初下の名前で呼ぼうとしたとき、A断ろうとしたじゃんか」
「そんなこともあったな」
「それなのにアイツには呼ばせちゃうんだ」
「悪かったって」
「反省してるなら、ポテトあーんしてよ」
「調子に乗るな。目に刺すぞ」
「手厳しいなァ」
残念そうにされるが、公衆の面前でそういったことを要求するのはどうかと思う。
そんな私達に茶髪は「本当に付き合ってんすか〜」と茶化すように笑っている。なるほど、愛嬌があるだけでなく鋭さも持ってるのか。
少し固まる私とは対照的に神威は「何、俺のこと疑うの?」とヘラヘラと茶髪を脅している。
「後輩にパワハラをするな」
「パワハラじゃないよォ。じゃれてるだけだって。頭固いな〜Aは」
「それに俺、後輩じゃないぜ?」
「え、でも神威に敬語を使っているじゃないか」
「あー。それは俺が『番長』だからだよ」
「……理解に苦しむな。番長とやらはそんなにえらいのか?同学年なら気さくに話せばよいものを」
首を傾げる私に茶髪は笑いながら言う。
「それがそうもいかないんだよ。神威さんは俺らの頭だから。俺らはこうやって神威さんを敬うことによって『夜兎工の神威』って名前に守られてんだよ。実際、神威さんが番長の座についてからは変な奴に絡まれにくくなったし」
「神威さんが強いおかげでありがたいことづくしっすよ〜」と笑う茶髪。
そりゃあ、あの力強い拳をあんな顔でふるう男が後ろにいる人間なんて、関わりたくはないだろう。
すぐに他の生徒達も戻ってきてワイワイと騒ぎながら食事が始まった。
神威がお手洗いに行くために席を離れたときだった。
「ちょっといいか」
この隙を狙っていたかのように阿伏兎さんに声をかけられた。
「どうしたんだ」
「……むさくるしいだろ。少し外で話さねェか?」
彼は少し考えてからそう言った。
本心ではそうでも無かったが、その言葉になにか裏の目的があることが察せないほど私は馬鹿ではない。
「構わない。行こうか」
そうして二人は密かに席を離れた。
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mire(プロフ) - お二方ともコメントありがとうございます！！すぐに返せなくてごめんなさい・・・最後までこの物語にお付き合いいただけると幸いです。 (2020年6月4日 15時) (
レス) id: 6258a992b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです！更新楽しみにしてます！ (2020年5月7日 18時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
まほ - とても面白いです！ 頑張ってください！ (2020年4月21日 0時) (レス) id: 1d89b9509f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mire | 作者ホームページ：http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時：2020年4月7日 21時
