別世界 ページ17
校舎に足を踏み入れればそこは異世界だ。銀魂高校とは何もかもが違う。
割れ場所にダンボールを貼っただけの窓。無数の意味不明な落書きがされた壁や天井。意味のわからない場所にある椅子や机。掃除も行き届いておらず、加えて校舎でも生徒は土足なので全体的に砂っぽい。
馬鹿が多いのはうちと大差ない(あくまでも広い世間からの客観的な目線としてだが)と思っていたのが、予想は外れたも同然だ。
もはやここが学校として機能しているのかどうかすら怪しい。
「これはどっちに行けばいいんだ」
「自分から率先して前を歩いてるから知ってるのかと思ってたら違ったんだね」
「当たり前だ。私は他校性だぞ」
「ならどうして前を?」
「いや、非常に興味深い環境だと思って。私の通ったことのある学校にここまでまともに授業ができなさそうな学校は無かったから」
「A、実はうちの学校の荒れ具合舐めてただろ」
「舐めていたわけではないのだが……いや、舐めていたのかもしれない。私は無意識に私が測れるくらいの程度の中での『荒れている』という認識をしていたのだろう。反省した。実際見てみないと世界というのは分からないものだな」
「有り得ないくらいテンション高いね。多分今までで一番」
そうだろうか。自分ではそんな感じしないのだが。
まあ未知との遭遇はあらゆる人の心を揺さぶるものだからな。それを同じ地域の他の学校の校舎でするなんて思わなかったが。
「それで、どこへ行けばいいんだ?そろそろ案内してもらおうか」
「勝手に進んで行ったのAだよね?」
「それは……君だっていつも私の話を聞かないじゃないか。その仕返しだ。気が済んだからさっさと案内してくれないか」
「君も大概勝手だよね。俺に似て」
「やめてくれないか。君に似ているとか自覚したくないんだ」
私の言葉に「元気だな」と笑ってから神威さんは「こっちだよ」と先を歩き始める。
「あ、離れないでね。危ないから」
「分かった。随分紳士的だな」
「そりゃあまあ彼氏だしね」
しっかりしてるな。報酬だってどうなるか分からないのに。
まあこれから神威さんの仲間を騙すのだから当たり前か。
なんて考えていたら、いきなり神威さんが歩くのをやめて危うくぶつかりかけるところだった。ある教室の前で立ち止まる神威さんの隣に立つ。
「神威さん、いきなり止まると驚いてしまうだろう」
「呼び方」
「え」
「言っただろ。呼び捨てにって。ついたから、演じきってくれよ」
そうして私の心構えなんて待たずに、神威さんは目の前の扉を開いた。
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mire(プロフ) - お二方ともコメントありがとうございます!!すぐに返せなくてごめんなさい・・・最後までこの物語にお付き合いいただけると幸いです。 (2020年6月4日 15時) (レス) id: 6258a992b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月7日 18時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
まほ - とても面白いです! 頑張ってください! (2020年4月21日 0時) (レス) id: 1d89b9509f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年4月7日 21時