敵を騙すにはまずなんとやら ページ14
「Aに仲間を紹介したいのは本当だって。みんなも君に会いたがってる」
「私に?何故」
「俺が彼女が出来たって言いふらしているから」
「馬鹿なのか。やめろ」
「え〜敵を騙すには味方からって言うだろ?」
「まさか本物の彼女として紹介しているのか!?勘弁してくれ正気なのか!!」
「そうだよ。事実を知ってるのは俺と阿伏兎と云業だけ」
なんてことだ。
じゃあ夜兎工業高校では神威さんに銀魂高校の彼女が出来たと思われているのか?嘘だろ?
どうしてそんな酷いことができるんだ。
「わ、私嫌だからな。事が解決した後もアレは噂の夜兎工業高校の番長の元カノだなんて言われるのは」
「まぁ言われるだろうね。ちなみにAから告白したことになってるから」
「最悪じゃないか。絶対に君の仲間になんて会いたくない。私から告白して神威さんの彼女になったと思われているのに、顔を覚えられる訳にはいかない」
「シャイだなぁ」
いやシャイとかじゃなくてだな。
とにかく神威さんは自分がやりたいことに関しては人の話を聞かない人間らしく、「いつがいいかなー」などと呑気なことを言っている。
この男本気で学校の仲間に私を紹介するつもりだ。
というか言いふらしてるってことは多少噂にもなっているんだろう。
八田は神威さんのことを見ても夜兎工の番長だって気付かなかったみたいだし、噂が広まれば大人しくなるんじゃないか。
……いや、そんなに頭の回る人間とは思えない。
さすがに昨日の今日だし今日はまわりにいる様子はないみたいだけれど。
「――――でさ、その話したら皆もAのことつけてる奴がいたらぶっ飛ばしてやるってさ。これで俺が隣にいないときでも安心だ」
全然話を聞いていなかったが、神威さんが私のストーカー被害についても言いふらしてくれているという事実だけは理解した。
でもまあこれについてはめいわくではない、と思う。
監視の目は多い方が八田も動きづらいだろう。
でもそれをするためには。
「だからさ、皆に顔覚えてもらわなくちゃだろ?」
どうしても自分の仲間と私を会わせたいらしい、この男は。
「考えておく」
決して了承したわけじゃない。
考えておくという事実を伝えただけだ。
ただそのニュアンスをちゃんと受け取ってくれるかどうかは、神威さん次第だが。
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mire(プロフ) - お二方ともコメントありがとうございます!!すぐに返せなくてごめんなさい・・・最後までこの物語にお付き合いいただけると幸いです。 (2020年6月4日 15時) (レス) id: 6258a992b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月7日 18時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
まほ - とても面白いです! 頑張ってください! (2020年4月21日 0時) (レス) id: 1d89b9509f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年4月7日 21時