思ってたのと違う ページ2
頭を抱える。
説明遅れたが、私は銀魂高校三年A組の加賀美Aだ。
とある事情があって夜兎工業高校の番長である神威という生徒に会いに来たのだが……
その人を信頼させる力の全く無い笑顔からは彼が夜兎工最強と言われる人間であるとはとても思えない。
それよりかは、むしろ。
彼の後ろに立っている明らかに高校生には見えない二人組の方が番長らしい。
高校生に見えないが。明らかに年を食っているが。
「あの、後ろの二人は……」
「あぁ、阿伏兎と云業のこと?」
彼は「俺の子分さ」と笑顔を全く崩さずに言う。
……どうやらこれは不発だったらしい。
私にはこの男を信用することが出来ない。私の望む結果を出してくれそうになさそうだ。別の人間を当たろう。
「すみません。いきなり呼び止めて。ちょっと思ってたのと違いました。なのでなんかこう、もう結構です。さようなら」
「失礼な奴だなァ。こっちはわざわざ足を止めてやったんだ。何の用かくらい話してくれても良いんじゃない?」
「いや、貴方のこと信用できないので」
「うわあ。俺、女にこんな雑な扱いされたの初めてだよ」
「そうですか。さようなら」
「まァ待て待て」
そう言って腕を掴まれる。振り払おうと思ったがピクリとも動かない。なんだ、この男。
「なんで俺のこと信用できないの」
「だって貴方強そうに見えないですし」
その言葉を聞いて、彼の後ろにいた二人のうち一人が小さく鼻で笑った。阿伏兎と云業のどっちかは分からない。
で、その鼻で笑った方が私と神威(仮)の間に入ってなだめるように言う。
「落ち着けこのスットコドッコイ共。嬢ちゃん、コイツのこと信用できないのはまァ分からねェでもねェ。けどいきなり呼び止めておいて何も言わねえのはさすがに失礼じゃねェか?」
「確かにそうですね。けど貴方達に話して私の問題が解決しますか?不必要なことしたくないんですよ」
「それは分かんねェけどよォ。その問題を解決するために番長に会いに来たってことは、要するに強い奴に用があるってことだろ?」
思わず肩がピクリと揺れる。まさかこんな気だるげな目の男に言い当てられるなんて。
「協力するかしねーかは交渉次第だが……うちの番長の強さは、俺達が保証するぜ」
その言葉にもう一人の子分も深く頷く。
かくして私は人生一無駄な時間を過ごす気持ちで彼らに今までの経緯を話すことになる。
これが私の人生を変える出会いになるだなんて、この時はまだ毛ほどにも思っていなかった。
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mire(プロフ) - お二方ともコメントありがとうございます!!すぐに返せなくてごめんなさい・・・最後までこの物語にお付き合いいただけると幸いです。 (2020年6月4日 15時) (レス) id: 6258a992b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月7日 18時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
まほ - とても面白いです! 頑張ってください! (2020年4月21日 0時) (レス) id: 1d89b9509f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年4月7日 21時