25：溺れるならいっそ深くまで【月永レオ】 ページ26
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毎週金曜日
足を運ぶのは見た目からして高級なホテル
愛に溺れた男女に混じって、私は指定された扉を開ける
『216号室』
そこにオレンジの彼がいる、今や大スターとなり世界中を飛び回る彼が
「今日は遅かったな？ 人身事故って聞いてちょっとヒヤヒヤしちゃったよ」
「私が飛び込むってこと？ …まさか」
__飛び込むのはあなたの胸の中だけ
なんて上手くもないことを言ってみる
我ながらつまらないし、笑えもしない冗談だ
それでも彼だけは笑う
怪しく、偽物の太陽のような笑顔を咲かす
「今日は後輩に捕まってたの。印刷部数ミスっちゃって尻拭い」
「そっか、もう社会人二年目？お疲れ様」
「レオくんこそ、毎日お疲れ様」
ちゅっと軽く降ってくるキス
怪しい笑顔のまま、じっと私を見つめる
それに耐えられなくなって顔を背ければ、
待ってましたと言わんばかりに首筋に吸い付かれた
少しの痛みとざらりとした感覚
ばかばかしい所有印さえ今は心が満たされる
「ん…香水きつ…おれこれきらい」
「そう？ 結構気に入ってるんだけど」
「えー、おれはきらい」
「今度から他のにするね」
「そーして」
軽く耳たぶを吸われて、背筋にゾクゾクと電流が走った
生々しい音がすぐ真近で聞こえてきて、思わず顔を歪める
嫌悪感、と言うより羞恥心のようなもの
頭は私の顔の近くにあるというのに、
手は器用にするりと私の服の中へと滑り込んでいる
そしてこれまた器用に脱がせると、やわやわと胸に触れてくる
そのまま耳から顎、首から鎖骨と段階を踏んで下がっていく顔の位置
谷間のあたりまで来たところで、ゆらりと熱に支配されたグリーンの瞳が揺れた
「明日休みだよな？」
「もちろん」
「ん、」
と言うと、彼はおもむろに服を脱ぎ出す
珍しくインナーを着ていなかったので、すぐにあらわになる肌
たくましいとは言いがたいけど、それなりについた筋肉
薄っすらと浮かんでいるシックスパックも、半年前に比べれば成長している
「かっこいいね」
「セナが鍛えろ〜ってうるさいからなぁ…あとで触る？今でもいいけどっ」
「あとでいっぱい触らして」
「ヤラシイ触り方はやめろよ〜」
そんなこと言うきみがやらしい触り方してくるんじゃん
ずるいね、ほんと
毎週金曜日
足を運ぶのは見た目からして高級なホテル
愛に溺れた男女に混じって、私は指定された扉を開ける
『216号室』
私の誕生日の数の部屋には、オレンジのきみがいる
偽物の愛に溺れた、きみと私が
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くるみ - こんにちは！レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです！これからも頑張ってください！ (2019年6月27日 13時) (
レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (2019年6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します！レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います！応援してるので頑張ってください！ (2019年6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです！更新いつもありがとうございます…！これからも頑張ってください！！ (2019年5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：adora | 作者ホームページ：
作成日時：2019年4月24日 0時
