No.20『未練』 ページ23
昔の恋に未練があるのか？と問われたならば、
(おそらくない)
と、Aは答えるだろう。
今となっては、その相手に関わることがそのまま我が身の破滅につながるのだ。
しかし、
昔をやり直したいか？と問われたならば、Aは答えを悩む、確実に。
それが、自分が昔の恋に未練があると言っているのと同じだということに気付いていながらも。
だから、
……だから、中学の同窓会に顔を出したりしてしまったのだろうか。
奇しくもヒーローと協力しての仕事のあった次の週の土日だった。
ヒーローとして有名になった彼が顔を出すはずがないと高を括っていたのがいけなかったのか。
それとも……
心のどこかで彼が現れることを期待していたからだろうか。
先週の時点で彼と会うことはまずいと思っていたのにも関わらず、この同窓会に出てしまったのは何故か。
彼に会うことが万にひとつでもあることはわかりきっていたのに。
そして、何故ドタキャンしなかったのか。
だから、だから……
こんな目に会うんだ。
「A」
「……っ！？焦……轟さん」
居酒屋の入り口でばったりと鉢合わせ、心の準備もできないままの不意討ちに近い状態。
最悪だ。
いや、これは私が望んでいた通り？
……わからない。
でも、さすがに私にも、これが自分を、ひいては連合を危険に晒すようなことになり兼ねない行為だということはわかった。
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作者名：パンプキン | 作者ホームページ：http://uranai.
作成日時：2018年1月8日 17時
