【MHA】朱に染まる (ページ3)

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No.1『再会:荼毘』ページ3

待ち合わせ場所の、大通りから外れた裏道にAは時間通りに現れた。

「荼毘、久しぶり。会いたかったよ」

　白のシャツに黒のパンツスーツ。
　Aの性格を表したようなまっすぐで、染めたことがないという黒髪は肩の上で切り揃えられている。

　やはりここで待ち合わせて正解だった、と俺はAの姿を見て思う。

　もし、人目のある大通りで待ち合わせていたら、ラフと言えば聞こえがいいが、いつもの服を着ている俺と、しっかりとした勤め人らしい服を着たAは、アンバランスで目立って仕方がなかっただろう。

「そうか、確かに久しぶりだ。……この前、『定期報告』に来たときも会わなかったか。まあ、お互い忙しいしな」

「そうだね。今日はどうする？もう夜だよ」

「とりあえず夕飯にするか。その後は……」

　口ごもった俺に対してAはイタズラっぽく微笑んだ。

「大人らしくバーってところかな？それで、その後は……」

　言わずもがな。ホテルだ。
　夕飯を食べるレストランもバーもホテルも口の堅い『裏』のだが。

「行くか、A」

「うん、行こう」

　そうしてネオンの灯りがぼんやりと足元を照らす、暗く人通りの少ない道を俺とAは歩き出す。

　二人、恋人のように腕を組んで。