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No.2『夜のデート:荼毘』 ページ4
食事を終え、Aと入ったバーには店主と一人しか客はいなかった。
とりあえず、俺とAはバーのマスターおすすめだというカクテルを注文した。
無口なマスターからカクテルを受けとり一口飲むと、Aは話だした。
「ねえ、荼毘。私たちさ、もう『付き合い』はじめて2年になるんだよ。知ってた？」
「ああ……まあな」
『付き合い』だしてからこの2年の間、こうして二人で会ったのは数えるほどしかない。
けれど、不思議なことに俺とAの縁は切れない。
それはお互い、人付き合いが少ないからか、それとも……。
いや、そんなはずはない。
そもそも俺とAは恋人同士ではないのだから。
「荼毘はさあ、優しいよね」
からり、とAの持つウイスキーの水割りの中に浮かぶ氷がグラスにぶつかって音をたてた。
「……そうか？」
俺もAもどちらかというと、かなりの利己主義者だ。
そしてAは本人にはけして言えないし、言わないが、『優しい』というより男にとって『易しい』存在である。
「だってあたしの愚痴をこうして聞いてくれてるじゃん」
そういうとAはぐいっと一気にウイスキーを飲み干した。
「じゃあ俺は『優しい』らしいから愚痴を聞いてやる。話せよ」
「ありがと。……ねえ、あたしと最初に出会ったときのこと荼毘は覚えてる？」
「ああ、もちろん」
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作者名：パンプキン | 作者ホームページ：http://uranai.
作成日時：2018年1月8日 17時
