君との狂った時間【短編集】

【アルドノア・ゼロ】【スレイン・トロイヤード】捕虜の君 ページ7

鎖に繋がれている君

他の軌道騎士の命で君を繋いでいる僕

拷問に掻けられる君

拷問に掻ける僕

生まれたのが火星

生まれたのが地球

生まれて直ぐに地球へ

生まれて暫くし火星へ

君と僕は全て正反対で

捕虜の身の君と

自由の身の僕


全てが真逆

惹かれる部分など一切無いのに

惹かれていた


どんな拷問にあっても

傷付けられても

抱かれても


何も言わない

沈黙を守る


気丈な君


軍にそうやって忠誠を誓う君は


可笑しくて狂ってて美しい

美しい君は、美しい華は


散るしかない

美しく咲いた後に待っているのは

"死"
"散り逝く"

のみ

ただそれだけ



なのに、それがわかっていながら

二人になると君は笑った

そのまま、消えそうな程美しく




僕はその華を握り潰すことが



どうしても出来なかった

「早く、早くしなきゃ」
「他の軌道騎士が気づいてしまう」
「その前に、逃げ出そう」
「二人で地球の何処かに行こう」
「見付からないように」
「隠れながら」
「ここまで登り詰めたけど」
「君が手に入るなら」
「全てを捨てよう」
「僕は君が居なくちゃ生きて居られないくらい」
「君が好き」



そう、私を抱き締めて

アルドノアドライブを搭載したカタフラクトの

アルドノアドライブを起動した


でも、私にはすることがあるから

君に口づける


深く深く舌を這わせて

絡ませて

君との時間を堪能して


それで、私は


君に抱き付いた


『私』
『君がきっと好きだよ』
『そう。好きなんだよ』
『でもね。私には任務があって』
『それは、極秘なんだ』
『君に抱かれた夜』
『ずっと身体が熱かった』
『もう一度を望みもした』
『でもね、私は』
『君を殺さなきゃならない』


君の腰から、銃を抜き

君の胸に添える

背中から




「なんで？」

心底、想いは通じて居るのに

みたいな顔してるけど

無理なんだ

私は、ね


命令で、好きな人が殺せるんだ




引き金を力一杯引いた


銃弾が綺麗に君の心臓を通り

私の右胸に刺さる

『はぁ、カハッ…。はぁ、今回のは堪えた、なぁ…』

一言洩らした


『本当にコンカイは好きだったのにな…』


いつものこと
ターゲットに近づいて殺すこと
基本それが、私の好きな人
好みの人
嫌いになれないタイプの人
好きになる感情がわからない私
それを教えてくれたのに
君は死んでしまった
私の手で
死んでいった
私に血を浴びせながら
死んでいった
美しい緋の華

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