嗚呼、愛しい人よ【中原中也】

17話(side N) ページ17

｢何が起こってやがンだ｣




駆けつけた先には、女ひとりを囲む武装集団。


ボスからの指令は2つ。1つは組織同士の小競り合いを鎮圧させる事。


2つの組織は小競り合い、に見せかけ裏で手を組んでポートマフィアに喧嘩をフッかけようとしていた。


ただ、納得が行かなかったのはたかが女1人を殺す為だけに、そこまで大掛かりな事をする必要があったのか。




否、必要はあったのだ。




それでも足りなかったようだが。




形成は、あきらかに女が不利だった。不利なんて言葉じゃ生ぬるいだろう。


何せ大勢がたった1人に武器持って本気で殺しにかかってんだからよ。




女の戦い方は、まるで舞って居るようだった。




銃弾の間をすり抜け、目の前にいる的の急所を的確に狙っている。


人間のもてる動きを遥かに超えている。


異能でも使って居るのかと思ったが、女は異能を使っていなかった。




まだ、使っていなかった。




流石に、これ以上は女も死ぬだろうと思い攻撃の指示を出す。




｢女以外全員殺せ｣




女に死なれては困るのだ。


2つ目の指令は｢とある組織の参謀をポートマフィアに勧誘する事｣


勧誘する前に死なれちゃ困るってこった。









こっちの加勢に気が付いたのか、女は一瞬気を逸らし、女の肩を、弾が貫いた。


その衝撃で女は地面に倒れ込む。


助けに入ろうと、体に力を入れ動く前に女は立ち上がった。









女は、目の前にいた男の顔を全力でぶん殴った。


殴られた男は数十メートル先まで吹き飛んだ。


男の顔は原型をとどめてはいなかった。






有り得ない。


物理的に、女の腕で為せることでは無い。









敵を殲滅した後でも女は戦うことを止めなかった。

18話(side N)→←16話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す