セコムしないでください！【糸師凛】 (ページ7)

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冴｢消えろ凛俺の人生にもうお前はいらない｣

意味が、分からなかった。

俺が今まで何のためにサッカーをやっていたのか、それを兄ちゃんは知っていたはずだ。
なのに、何でそんなことを言うんだ？

兄ちゃんの人生にもう俺はいらない...？

俺は...糸師凛は、糸師冴に捨てられた...？

今さっき起こった出来事を未だ脳が処理できていない状態で俺は雪の降る街を歩いた。

家の近くになると、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。

『あ！おーいり....ん...え、どうしたの？』

振り向くと、Aが立っていた。
寒いからか、花と頬が赤くなっている。

雪で滑ってこけたのかとかいう見当違いにも程がある心配の言葉をかけてくるAに、俺はAも俺を捨てるのかと聞いた。
自分でも何を聞いているのか分からなかったけど、Aは

『捨てないよ』

ただ一言、そう言った。

すとん、と心が少しだけ軽くなる気がした。

凛｢...じゃあ、俺と、ずっと一緒にいる？｣

『うん、ずっと一緒』

Aは、俺を裏切らない。Aだけは、ずっとおれの傍にいてくれる。

その事実が嬉しくて、制服の裾をぎゅっと握った。
おれはもう、Aがいればいい。

Aはこれから先俺の1番近いところにいて俺がクソ兄貴に復讐を果たすところを見届けるんだと思っていた。

『大学県外行くから明日にはもう引越しするんだよね』

凛｢...は？｣

Aがこんなふざけたことを抜かすまでは。