○ ページ24
先程のバンッという大きな音は鳥がぶつかった音だったらしい。
ちょうど反対側を眺めようとしたエースがその音に驚き、体勢を崩した結果…
私が角に押し込まれたような格好で彼の顔が私の右頬にぶつかった。
「わ、わり！大丈夫か！？」
『だ、だだだ大丈夫』
「ほんとか！？」
大丈夫な訳あるか。こちとら彼氏いない歴＝年齢、恋愛経験ゼロ、恋バナは聞き専、恋愛相談なんてされた試しはない。
そんな私にこの距離の近さは耐えられないって。もしマスクしてなかったらこんなんちゅーじゃん。
ていうかあと半周残ってるの？この状況で？
早く降ろしてくれぇぇ…誰か助けてこの空間！何を話せばいいかもどんなテンションでいればいいかも分からないんですけど！
「Aごめんな、事故とはいえ俺が体勢崩しちまったせいで。
…嫌だったよな」
『…ぁ、い、嫌とかじゃなくてあの、普通にビックリしたというか、ちょっとパニクっちゃっただけというか。てかエースのせいじゃないよ！悪いのは全部鳥だし！気にしないで！！』
「あり、がとな。
まだ半分あるもんな、もう少し楽しもうぜ！俺たちの家あっちだっけ？」
エースが気まずくならないように話題を振ってくれたのが分かる。優しいな。
でも、本当に嫌ではなかったことが自分でも意外だった。そんな経験もなく、事故とはいえ合意のないあの距離の近さ、さらにキス(マスク越しほっぺ)なんてされれば普通嫌悪感があったって当然なのに。
そういえば、向こうの世界にも観覧車はあるって言ってたけどこっちみたいなジンクスはあるのかな。
もし、あったら。
こんなおかしな世界でたまたま出会っただけの女とそんなジンクスで結ばれたくないだろう、なんて。ほんの少しだけ胸がピリリと痛んだのは気の所為だろうか。
24にもなって高校生のような甘い青春なんて似合わない。気が動転しているだけだ、と自分に言い聞かせた。
「うわーあの塔なんだ！？あっちにも赤いのがあるし…この国は高い建物がいっぱいあんだなァ！」
共同生活を初めてたった数日。まだ片手で数えられるほどしかいないというのにこの男は私の中に入り込み、私もその場所を空けてしまった。
終わりが来るとわかっていても。
難儀な感情を植え付けられたものだ。でもまだその感情に名前はつけたくない。
ただ彼が私にとって“ただの居候”と言うだけの存在では無くなっているのだろうと自覚せずにはいられなかった。
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葵(プロフ) - めりーさん» めりー様コメントありがとうございます。全部ありがたいお言葉すぎて感涙です…！今後とも楽しんで読んでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします！ (2023年3月13日 9時) (
レス) @page32 id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
めりー(プロフ) - 続編行くんですねっ！😆✨とても大好きで読ませてもらってます！文才がすごくて憧れます😌🙏💫応援してます🔥ꉂꉂ📣 (2023年3月11日 22時) (レス) @page46 id: 4d1819db53 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココ様！前作に引き続きコメントありがとうございます。笑っていただけて光栄です笑。これからの展開もぜひ楽しんでいただけると嬉しいです！今後ともよろしくお願いします。 (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様コメントありがとうございます。応援とても励みになります。これからもよろしくお願い致します！ (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵様こんばんは。新作早速一気読みしてしまいました´`* 私5話の｢あ。結構馬鹿だ、この人。｣が好きすぎてつい笑ってしまいました(笑) 夢主さんとトリップしたエースさんのこれからが楽しみで仕方ありません…!! 今作も応援してます (2023年2月25日 23時) (レス) @page5 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年2月23日 12時
