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潮風が肌に刺さるように冷たい。
ぶるっと身を震わせ腕を抱きしめる私に対してエースはなんとも言えない表情で遠くを見つめていた。
『…なんか、感じる？』
「いや、ただちょっと海の匂いが懐かしくて」
『そっか』
風を受けながら真っ直ぐに目を向ける。
しばらくそうしていたかと思うとゆっくり波打ち際に向かって歩いていく。
『ちょ、エース。入るつもり！？』
「そしたら帰れるかもしれねェだろ」
『そう、だけど…こんな冷たい海に…！？帰れなかったらどうするの、死んじゃう…！』
「でもお前は俺に帰って欲しいんだろ？」
その声はさっきまではしゃいでいたような声ではなかった。振り返ったその目もどこか哀しさを感じさせる。
『そりゃ、エースはすごい海賊団の2番隊の隊長さんなんでしょ？いないとみんな困ってるよ、きっと』
生きる世界が違うんだから。
『早く帰らなきゃ親父さんもお仲間さんも心配してる』
彼はいつか必ず帰らなきゃいけないんだから。
『きっとエースを探して、帰ってくるのを待ってる』
でもエースが帰ったら、
『早く自由な世界に帰らないとね』
__またひとりか。
最初から分かっていたことなのに。
この世界の人間ではないということは遠くない未来に彼との永遠の別れというものは必ず来る。
二度と会えない。
帰っておかえりと出迎える声も、作った料理を美味いと言ってくれる声も、欠伸を噛み殺したおはようとおやすみの声も、
もう二度と聞けない。
全部、分かっていたことだ。
もう、エースの顔は見れなかった。
その代わり頭に少しだけ心地いい重みが乗っかり、視界が狭くなる。
その重みのまま下を向くと少しだけ滲んだ視界に赤い紐とそれに着いたゴツめの飾りが映る。
「んな顔されたら、帰りにくいだろうが」
帽子の上の大きな手は優しくゆっくり私の頭を撫でた。
風はこんなに冷たいのに何故こんなに温かいんだろう。
『…エースが今帰ったら、月曜日は仕事休む』
「なんでだよ」
『言わせるの、それ』
本気でわかっていない顔をするので少しだけ笑ってしまった。
腫れてしまった目を見られたら、心配されてしまうでしょ。
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葵(プロフ) - めりーさん» めりー様コメントありがとうございます。全部ありがたいお言葉すぎて感涙です…！今後とも楽しんで読んでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします！ (2023年3月13日 9時) (
レス) @page32 id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
めりー(プロフ) - 続編行くんですねっ！😆✨とても大好きで読ませてもらってます！文才がすごくて憧れます😌🙏💫応援してます🔥ꉂꉂ📣 (2023年3月11日 22時) (レス) @page46 id: 4d1819db53 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココ様！前作に引き続きコメントありがとうございます。笑っていただけて光栄です笑。これからの展開もぜひ楽しんでいただけると嬉しいです！今後ともよろしくお願いします。 (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様コメントありがとうございます。応援とても励みになります。これからもよろしくお願い致します！ (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵様こんばんは。新作早速一気読みしてしまいました´`* 私5話の｢あ。結構馬鹿だ、この人。｣が好きすぎてつい笑ってしまいました(笑) 夢主さんとトリップしたエースさんのこれからが楽しみで仕方ありません…!! 今作も応援してます (2023年2月25日 23時) (レス) @page5 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年2月23日 12時
