亡き人を想う女たち ページ24
ドーン島の山の上。
古くさい小さな小屋に酒を啜る女が1人。
無造作に投げられた新聞はもう記事が読めないほど文字が滲み湿っていた。
ダダンが山に捨てられているアイリンを見つけたのはもう24年も前の話だ。当時は山賊のアジトに子供なんているはずもなく、気まぐれで連れ帰った。
赤子の世話なんて無縁の無法者だ。
最初こそ世話に手を焼いたが物心着く頃には誰に似たのか自分たちよりずっとできた娘になっていた。
悪ガキたちの世話は勿論、家事も1人でこなす上に街に出て働いた金は全てウチのために使うような子だった。
「神ってやつはどうしてこんなに残酷なのかね」
たった数年、一緒に暮らしたくそババアだ。あの子にとってはなんとも思わねェババアだったかもしれない。
それでも私にとっては…
「ただのクソガキさ…」
大きくなった姿を見たかった。
いつもありがとうと、素直に伝えればよかった。
もっと親らしいことをしてやればよかった。
…アイリン、あんた幸せだったのかい。
向こうでまたエースの面倒見てやんな。
やけに塩気が強い酒を飲み干し、女は外に出た。
そこには随分と真っ青な空が広がっていた。
＊
頂上戦争から2年。
麦わらのルフィは仲間との約束を果たすため遂にシャボンディ諸島へ出航した。
彼はこの2年無人島で一日も絶えることなく修行を続けていた。故にこの2年で起こったことは何も知らないのだ。
「いやー、わざわざ送ってくれてありがとな！世話になった。
じゃあ、俺行くよ！」
「ッルフィ…！
……強く、生きるのじゃぞ」
「？おう！ありがとう、またな！！」
「言わなくてよかったんですか」
「いずれ知ることになる。妾の口からはとても…言えん…」
だからあの時行かないで欲しかったのだ、アイリン。
そなただけが妾を友人と呼ぶ存在だったのだ。
そなたが入れた茶の味も、自慢げに笑うその笑顔も、愛おしそうに語る恋人の話も全て昨日の事のように覚えている。
彼女の知らせを聞いた日はそれから3日泣き続けた。
誰かのために泣いたのは初めてだった。
今でも思い出すだけで涙腺が緩む。
アイリン、エースとは会えたか。そちらで2人また出会えている事を祈っている。
そして2人で見ておれ。妾は必ずルフィと結婚してみせる。
いつか妾がそちらに行った時、また2人で茶会をしようぞ。
約束じゃぞ、アイリン。
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葵(プロフ) - Reiさん» Rei様コメントありがとうございます。お褒めの言葉が大渋滞で光栄の極みです！長い作品になりましたが最後まで読んで頂きありがとうございました！！ (9月21日 1時) (
レス) @page28 id: a9dfcafb0e (このIDを非表示/違反報告)
Rei - 最後までお話読ませていただきました!!!作者様マジで文才凄いです!!!!!!感動シーンの耽美に私もう何回も泣いちゃって(オーバーな表現とかじゃなくてマジで)涙腺画だいぶ緩くなっちゃいました（笑）めっちゃ尊敬します。こんな神作品を作って頂きありがとうございました! (8月8日 9時) (レス) @page29 id: b86dee8da5 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - なこさん» なこ様コメントありがとうございます。ドキドキハラハラしていただけて何よりです！なこ様の温かいお言葉本当に嬉しかったです！最後までお読みいただいて本当にありがとうございました！ (2023年2月23日 13時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵さん» ほんの少しでも葵様のお力になれていたとしたら本望です´`* ココナッツでは長いでしょうから、是非ココとお呼びください~ 次作も楽しみにしております！ お疲れ様でした~！ (2023年2月21日 23時) (レス) id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！どのような物語展開になるのかと、頂上決戦始まり時はドキドキハラハラさせて頂きながら読ませて頂いていました。最後はまた巡り巡ってエースとハッピーエンド♡本当に良かったです！！おつかれさまでした(๑>◡<๑) (2023年2月21日 22時) (レス) @page27 id: 2ce513ca08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年2月7日 22時
