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「お待たせー！俺様特製ふわとろオムライスだ、召し上がれ！」
いただきます、と両手を合わせスプーンで1口運ぶと口の中に優しい味と食感が広がった。
『おいしい……！』
「そいつァよかった！」
嬉しそうなサッチさん。
その隣と私の隣に座るイゾウとマルコも微笑ましそうに私を見ていた。
私は周りに気にする余裕もなく、それを頬張る。こんなに美味しいものを食べて許されるなんて、幸せすぎる。
「かんわいぃなぁ」
『ッごほっごほ』
「おーおー水飲め」
それはもう心の底から愛おしそうな顔をして言われるものだからまた恥ずかしくなってくる。羞恥心は直ぐに消えてくれることはなく、わたしは再びフードを下ろし、顔を隠すように両手でぎゅっと握った。
(((可愛い……)))
「冷めちまうだろ。さっさと食べな、お嬢」
「なぁアイリンちゃん、プリンは好きか？」
『ぷりん…？』
「あぁ、デザートだ。アイリンちゃんが来るって聞いてたから作ってたんだけどよ、今持ってくるな」
数分で持ってきてくれたそれはこれまた豪華なものだった。
『これが、ぷりん…！』
「というかパフェだろそれ」
「アイリンちゃんには特別なんだよ！お前らの分な」
語彙力の無い幼子のように言われた言葉を繰り返すだけになってしまった私。
一口掬ってくちにいれるとほっぺがこぼれるほど甘く思わず自分の頬に手を添えた。
『甘い…！おいひぃ…！！』
「よかった！アイリンちゃんのためならいつでも作るぜ」
サッチさんはずっとにこにこしながら私が食べるのを嬉しそうに見ている。やはり照れるが、私が食べてるだけでこんな顔をしてくれる人が居るなんてこそばゆい。
「てかお前ずっとここにいて大丈夫なのかよい」
「アイリンちゃんがわざわざ俺のために来てくれたんだ、仕事は全部終わらせて他の野郎に任せてきたに決まってんだろー！」
「ま、お前さんずっと会いたがってたしなァ」
「ったりめェよ！ナースちゃん以外の女の子にこの船で会えるなんて滅多にねェもんよォ！」
『…また、来てもいい、ですか？』
「！！もっちろんだ！いつでも来てくれ！」
サッチさんはとても話しやすい人だった。
私が言葉に詰まっても待ってくれるし、彼自身も色々話してくれて、話題を流してくれる。
また面白かったのはマルコとイゾウがいつもより鋭いツッコミを入れたり当たりが強かったりしたところだ。
本当にこの船の人達は優しい人ばかりだ。
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作者名：葵 | 作成日時：2023年1月12日 8時
